枝葉に咲く甘~い花!色とりどりのアメが並ぶ「大館アメッコ市」枝葉に咲く甘~い花!色とりどりのアメが並ぶ「大館アメッコ市」

全国でも珍しい「アメ」のお祭り

秋田犬「忠犬ハチ公」のふるさとで知られる秋田県大館市には、古くから伝わる伝統的な冬の風物詩があります。「この日にアメを食べると風邪をひかない」といわれるこの祭りは、約400年前に始まったとされ、毎年多くの方が縁起物のアメを求めて訪れます。今回はそんな秋田県大館市で続く冬の風物詩「大館アメッコ市」をご紹介します。

街中がアメで彩られる!「アメッコ市」ってどんなお祭り?!

大館アメッコ市
例年全国から多くのお客さまが訪れる「大館アメッコ市」会場(写真提供:大館市)
ミズキ
あきおあきお
ハナミズキの仲間であるミズキの枝には、毎年色とりどりのアメが咲き誇ります(写真提供:大館市)
白ひげ大神
働き者の娘「おこう」が「白ひげ大神」に助けられたことから、病に倒れる人々のために薬アメを作り上げるという物語を表現した「白ひげ大神(おおかみ)巡行」(写真提供:大館市)
秋田犬パレード
もふもふでかわいい秋田犬が通りを闊歩(かっぽ)する「秋田犬パレード」。たくさんの秋田犬が一堂に会するイベントは必見です(写真提供:大館市)
アメ
露店に並ぶ、個性豊かなアメの数々…(写真提供:大館市)

JR大館駅から車で10分ほどの「おおまちハチ公通り」に並ぶ、色とりどりのアメ!街中に並ぶミズキの木の枝ひとつひとつに取り付けられたアメが、花のように咲き誇ります。おおまちハチ公通りでは、からみアメや切りアメ、枝アメ、ネジリアメなど個性豊かなアメの数々が販売されます。
また、大館市で最も標高が高い田代岳から、「神様が降りてきてアメを買いに来る」という言い伝えを表現した「白ひげ大神(おおかみ)巡行」や、もふもふな秋田犬がなんともかわいい「秋田犬パレード」など様々なイベントも同日に行われます。
諸説ありますが、「この日にアメを食べると風邪をひかない」と伝えられているのは、冬に新鮮な食べ物を食べることができなかった時代に、甘いアメを食べて体力が落ちるのを防いでいたことに由来しているそうです。アメッコ市は、昔の人々の生活模様から発展したお祭りなのですね。

データ

  • 大館アメッコ市
  • 開催日時:例年2月第2土曜日とその翌日
  • 場所:おおまちハチ公通り
  • お問い合わせ先:大館アメッコ市実行委員会事務局
  • TEL:0186-42-4360
  • ※2022年の大館アメッコ市は中止となりました。

創業明治5年!代々継承された確かな技術で生み出される昔懐かしい味

水あめと砂糖を溶かし煮詰める
大きな銅鍋で水あめと砂糖を溶かし煮詰める。お店中に甘~い香りが漂います。(写真提供:大館市)
雪の上でアメを冷やし固める
雪の上でアメを冷やし固めるのは大館市内でもここだけ!「この雪はお店の裏のきれいなところからとった雪だよ!雪の少ない年は大変!」と7代目店主斎藤さんは言います。(写真提供:大館市)
斎作屋菓子舗
機械でアメを勢いよく練っていくのは斎作屋菓子舗の次代を担う8代目。「アメを作っていると熱で火傷したり、冷えて固まった部分で手を切ったりと苦労も多いんですよ」と話してくれました。
アメをネジっていく
慣れた手つきでアメをネジっていく7代目。「これは他店でやろうと思っても真似できない」と語ります。
ネジリアメ
つがにゃんつがにゃん
斎作屋菓子舗でしか作れないネジリアメ(短切りアメも入ったネジリアメミックス1袋350円)
枝アメ
ミズキの木に色とりどりのアメがつけられた「枝アメ」。稲穂の代わりに神前に供えたことから始まったとされる。毎年アメッコ市の時期になると街のあちこちに飾られ、雪や青空に映える姿が印象的です。(一本600円)

アメッコ市会場のおおまちハチ公通り近くにお店を構える、「斎作屋菓子舗」でお話を伺いました。
創業明治5年のこちらのお店は、毎年アメッコ市に備えて本番の1か月前から限定でアメ作りを行うそうです。
お店に入るとまず目に入るのが、鉄道模型。渋谷駅前から大館市に移設された青ガエルをはじめとした数々の列車の模型が並びます。7代目店主の斎藤さんが各地の模型屋さんを巡り集めたそう。鉄道模型について語るその目には自然と笑顔がこぼれていました。店内に目を移すと、斎作屋菓子舗の看板商品である酒まんじゅうをはじめとした数々の和菓子や洋菓子がショーケースにずらりと並んでいます。取材中もお菓子を買いに来る人がひっきりなしに訪れ、地元の人に愛されているのを感じます。
アメのつくり方を紹介します。まず、水あめと砂糖を銅鍋に入れ、ある一定の温度まで煮詰めます。それを店舗の裏から持ってきた真っ白な雪の上に敷いた鉄板に移し、何度もアメを返しながら冷やして固めます。さらにそれを、アメがくっつきにくくなるという昔ながらの木製の機械にかけて、イチゴ、バナナ、オレンジ、ゴマ、ハッカなどの味を仕込みながら練り上げていきます。ここでたくさんの空気を含ませると、アメッコ市のアメの特徴である滑らかなくちどけに変わるそうです。こうして長年の経験が生んだ職人たちの手さばきで様々な商品の形に作り上げていきます。
「特にこのネジリアメは、腕の見せ所!他では真似できないアメだよ。」と7代目店主の斎藤さんが話します。アメを細長く形成し、くるくるとまわしながら独特の「ネジリ」を作っていきます。「絶妙な温度の調整と、指先の加減が必要なんだよ。」とポイントを教えてくれました。気軽に教えてくれるあたり、かなりの自信が伺えます。アメを直接手で持ち、口でポキッと折りながら食べるのがまた面白い。一つ頂いてみると、口の中でキャラメルのように、ほんのり甘く、じわっと溶けていきます。特にゴマ味は口に入れた瞬間は甘く、だんだんとゴマの風味が感じられておすすめ。代々継承されてきた技術によって引き出された伝統の味なのです。
「寒い中で食べるアメは何とも格別!種類も豊富なのでぜひお立ち寄り食べてもらいたいです!」と斎藤さんは言います。お話し好きな店主との会話が楽しい「斎作屋菓子舗」へぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

データ

  • 店舗名:斎作屋菓子舗(さいさくやかしほ)
  • 住所:秋田県大館市中町47(JR大館駅から車で約5分)
  • 営業時間:9:00~19:00
  • 定休日:第2・4日曜日(大館アメッコ市当日は除く)、正月元旦
  • TEL:0186-42-0009

深い歴史や地元の方々の人情があふれる「大館アメッコ市」。毎年アメッコ市の前になると街のあちらこちらに枝アメが飾られ見た目が華やかになり、お店からは甘い香りが漂ってきます。味わっても、目でも楽しめる「大館アメッコ市」へとぜひお出かけください!

記事作成:JR東日本秋田支社

ページのトップへ