縄文の祈りを感じる 北秋田市・伊勢堂岱遺跡縄文の祈りを感じる 北秋田市・伊勢堂岱遺跡

ユネスコ世界文化遺産登録「北海道・北東北の縄文遺跡群」 神秘のストーンサークル

2021年7月、ユネスコ世界文化遺産に登録決定となった「北海道・北東北の縄文遺跡群」。その中の一つに、秋田県北秋田市にある「伊勢堂岱遺跡(いせどうたいいせき)」があります。地元の人々によって守られてきた遺跡は、今も訪れる人に太古の神秘を感じさせてくれます。

発見から世界遺産登録まで

外観
周辺には日本海沿岸東北自動車道のIC、大館能代空港、秋田内陸線の駅もありアクセス抜群

秋田県北秋田市、JR鷹ノ巣駅から車で約10分。伊勢堂岱遺跡は米代川沿いの丘陵の上で1992年に発見されました。当地は大館能代空港へのアクセス道路の建設が予定されており、開発前の発掘調査で見つかったそうです。大きな環状列石(ストーンサークル)が2つ、3つと見つかっていったことから、元は環状列石を移設する計画でしたが、地元の人たちから現地保存を強く希望する声があがり、道路建設の建設は中止され、2001年に国の史跡に指定されました。今でも、途中まで作られていた道路橋脚が敷地内に残されています。
その後、発掘調査や見学環境整備などが着々と進められ、2021年7月にはユネスコ世界文化遺産「北海道・北東北の縄文遺跡群」の一部として登録されました。

環状列石と祈り

環状列石と柱穴
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見学ルートにある保存された環状列石と柱穴
展示
遺跡の解説や土器の展示も行われています

伊勢堂岱遺跡の環状列石から副葬品などが見つかっていることから、お墓として扱われていたようだということがわかっています。一方で、祭りや儀礼に使用された土偶や土器なども見つかっており、一種の祭祀場でもあったようです。
遺跡がある丘陵地からは、米代川を挟んで旧鷹巣の街並み、そして白神山地から続く山々を眺めることができます。縄文時代は農耕はなく、主に狩猟や採集によって生活を維持していたため、自然と生死が今より身近にありました。春の山野草の恵み、秋になれば鮭が登ってくる川など、自分たちの生活の糧を与えてくれる土地が一望できる場所で、亡くなった人たちを送り、祖先を崇拝していたのかもしれません。
現在の伊勢堂岱遺跡では、環状列石を間近に見ることができるよう、歩いて見学できるコースが整備されています。

縄文時代の“デザイン”

石
あきおあきお
自然の色のものもあれば焼いて赤くなった石なども
出土品
板状土偶をはじめ様々な出土品が展示されています

環状列石という名の通り、この遺跡にはぐるりと円を描くように石が置かれています。その石の一つ一つも良く見れば種類が違っていてとてもカラフルです。他の遺跡では単一の種類の石が使われているところもあることから、伊勢堂岱遺跡を作った人たちはたくさんの色を使うことに興味があったのかもしれません。
また、発掘されている板状土偶などはとてもユーモラスな形をしており、縄文の人々が何を思ってそうデザインしたのかはわかりませんが、現代人の私たちにとって魅力に溢れていることは間違いないでしょう。
遺跡の入り口にある「伊勢堂岱縄文館」では、実際の出土品を見ることができるほか、ミュージアムショップでは土偶をモチーフにしたグッズを購入することができます。

データ

  • 施設名:伊勢堂岱遺跡縄文館
  • 住所:北秋田市脇神字小ケ田中田100-1
  • 営業時間:9:00~17:00 入館無料
  • 休館日:毎週月曜日(祝日の場合はその翌日)、年末年始
  • 電話番号:0186-84-8710
  • URL:https://www.city.kitaakita.akita.jp/isedotai
  • ※遺跡の公開は4月下旬ころ~10月末まで

縄文時代というと教科書の中でしか見たことがないという方もいらっしゃるかもしれませんが、私たちの生活の源流であることは間違いありません。当時の宗教観や生死観が表現されたでろう環状列石、素朴かつ濃いデザインの土器や土偶のデザインなど、歴史に詳しく無くても、今の自分の生活と比べてみると思いがけない発見があるかもしれません。
北秋田市、伊勢堂岱遺跡へ是非お越しください。

記事作成:JR東日本秋田支社

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