秋田っ子なら誰もが一度は食べたことがあるご当地アイス「ババヘラアイス」。「バラ盛り」と呼ばれるバラの花のような盛り付けが目を引くこのスイーツは、素朴でどこか懐かしい味わいとシャリシャリとしたシャーベット状の食感が楽しめます。地域のお祭りや、イベント会場、運動会や何も無い道端まで、秋田県内のいたるところでカラフルなパラソルを差してお客さんを迎える売り子さんの姿が見られます。特に夏の暑い日はこのパラソルをみかけるとついつい買ってしまうほど、秋田県民にとっては馴染み深い存在です。
全国的にも知名度の高い「いぶりがっこ」や「きりたんぽ鍋」、日本三銘うどんの「稲庭うどん」など食が充実している秋田県。同じ県内でも沿岸部や内陸部、県の北部と南部で食文化や特産品も異なり、さまざまなグルメを楽しむことができます。隠れたグルメ王国、秋田の知られざる魅力をお届けします。
秋田っ子なら誰もが一度は食べたことがあるご当地アイス「ババヘラアイス」。「バラ盛り」と呼ばれるバラの花のような盛り付けが目を引くこのスイーツは、素朴でどこか懐かしい味わいとシャリシャリとしたシャーベット状の食感が楽しめます。地域のお祭りや、イベント会場、運動会や何も無い道端まで、秋田県内のいたるところでカラフルなパラソルを差してお客さんを迎える売り子さんの姿が見られます。特に夏の暑い日はこのパラソルをみかけるとついつい買ってしまうほど、秋田県民にとっては馴染み深い存在です。
現在秋田県内では「男鹿のナマハゲ」のふるさととして知られる男鹿市を中心に、いくつかの企業が「ババヘラアイス」の製造・販売を行なっています。今回お話をうかがう有限会社進藤冷菓の代表取締役社長、進藤博永さんも長く「ババヘラアイス」の製造に携わっているひとり。大人から子どもまで、幅広い世代に愛される「ババヘラアイス」の知られざる歴史と魅力について、お話していただきました。
(進藤社長)戦後間も無く、私の祖父の代からババヘラアイスの販売が始まったと聞いています。当時はまだ果物が大変貴重な時代だったのでイチゴやバナナはもちろん高級品。実物は食べられなくても、おやつでなら再現できるかもしれないと、イチゴやバナナの味の色や風味をイメージして氷菓子を作ったと聞いています。地元の子どもたちの憧れが詰まった夢のおやつ、それがババヘラアイスなんです。
(進藤社長)ババヘラアイスが誕生して間もない頃は、地域によって呼び方もさまざまでした。ババヘラアイスの売り子さんの大半が、農業や家事の合間を縫って働く中高年の女性たちだったということもあり、「ババ」(秋田の方言では、おばあさんのことを親しみを込めて「ババ」と呼びます)が「ヘラ」を使ってアイスを盛り付けることから、いつしか「ババヘラアイス」と呼ばれるようになり、そのまま定着したようです。また、今やババヘラアイスのトレードマークとなっているカラフルなパラソルは、私の父、進藤永三(現会長)が考案したものです。夏場に少しでも暑さをしのげるよう、炎天下で働く売り子さんへの思いやりから始まり、そのスタイルは現在でも受け継がれています。
今でこそバラの花をイメージした「バラ盛り」が定着したババヘラアイスですが、それまではイタリアンジェラートのようなシンプルな形が一般的でした。それがいつしか、売り子さんたちのお客さんを喜ばせたい、おいしく食べてもらいたい、というおもてなしの心によって、味だけでなく見た目にも美しい「バラ盛り」が生まれました。現在は、イチゴ風味、バナナ風味だけでなく、地元の特産品を使ったメロン味やぶどう味が登場するなど、さらなる進化を続けています。
ババヘラアイスの魅力は、その味や見た目はもちろん、売り子さんである地元のお母さんたちとの軽快な「秋田弁トーク」にも隠されています。「どこから来たの?」「今日も暑いね」と、アイスを盛り付けるわずかな時間に生まれる秋田弁混じりの他愛ない会話やキュートな笑顔に心まで癒されます。元気な秋田の「ババ」が届ける「ババヘラアイス」。カラフルなパラソルと元気な売り子さんを見かけたらぜひ、ご賞味あれ!
記事作成:ノリット・ジャポン株式会社