北秋田市・森吉山で「アイスモンスター」と出会う!北秋田市・森吉山で「アイスモンスター」と出会う!

幻想的な雪の世界へ! 森吉山樹氷×秋田内陸線 冬の絶景旅に出かけよう

「日本三大樹氷」の一つとされている「森吉山」の樹氷シーズンが今年もやってきます。 別名「スノーモンスター」とも言われている迫力満点な樹氷が織り成す白銀の世界は、まるで自然が作り出した芸術作品。森吉山を訪れたら立ち寄りたいスポットも合わせてご紹介します。

ゴンドラで行く、日本三大樹氷観賞地!

樹氷
※写真提供 北秋田市
晴れた日には、澄み渡る青空と樹氷のコントラストが一際美しく映え、目の前には絶景が広がります。
樹氷
森吉山 阿仁スキー場」にある「阿仁ゴンドラ山麓駅」から、樹氷の観賞スポットへゴンドラで向かう。
支配人の吉田 茂彦さん
「森吉山 阿仁スキー場」支配人の吉田 茂彦さん。

山形県の蔵王、青森県の八甲田山と並び、日本三大樹氷観賞地に数えられる秋田県の「森吉山」で、樹氷観賞シーズンがやってきました。北秋田市の「阿仁スキー場」にある「阿仁ゴンドラ山麓駅」から「阿仁ゴンドラ山頂駅」までゴンドラで約20分、そこから徒歩約5分で樹氷観賞エリアに到着すると、迫力満点の巨大な樹氷群が現れます。「樹氷平」と呼ばれるエリアは、周囲を散策できるコースが整備され、さまざまな形の樹氷をゆっくりと観賞することが可能です。山頂駅舎では長靴やスノーシュー、ストックの貸し出しを行っているほか、樹氷ができる仕組みを解説する「樹氷教室」の開催も。今回は、「阿仁スキー場」支配人の吉田 茂彦さんに、樹氷がどのようにしてできるのか、その仕組みを教えていただきました。

樹氷はどのようにして作られる?

樹氷
※写真提供 北秋田市
これほど大規模な樹氷群は、国内でも数少ない特別な光景です。
樹氷
※写真提供 北秋田市
ダイナミックで神秘的な樹氷群を間近で見ることができるのが魅力。

「樹氷とは、気温10度以下の環境で海から上がる水蒸気が過冷却水(0度以下でも凍らない水)となり、木にぶつかった衝撃で一気に凍る現象によって形成されるんです。単に雪が積もるのではなく、氷が徐々に大きく成長していくことで樹氷が完成します。水分と冷たい風が必要不可欠で、こういった条件を満たす場所は世界的にも希少なんですよ」。
「また、どんな木でも樹氷ができるというわけではなく、森吉山の標高1,200m付近に生えている、アオモリトドマツという木にのみ樹氷がつきます。アオモリトドマツは揺れにくく氷が付着しやすい特性を持つため、ブナなどのほかの木に比べて樹氷の形成に適しているんです。また、北西の風がよく当たる場所が樹氷形成のポイントですよ」と吉田さん。
森吉山の樹氷は、12月頃から形成が始まり、1月初旬から2月末にかけて見頃を迎えるんだそう。2025年の樹氷観賞期間は1月7日から3月5日までで、阿仁ゴンドラ山頂駅には3名の樹氷スタッフが常駐し、対応してくれます。

森吉山の樹氷観賞の魅力

樹氷
※写真提供 北秋田市
森吉山を埋め尽くすスノーモンスターたち。雪が作り上げたこの冬の彫刻は、壮大な感動を与えてくれます。

「森吉山では、樹氷を間近で観賞できるのが最大の魅力です。特に大きなものでは8〜10メートルに達しています」と吉田さん。日本三大樹氷観賞地の中でも「一番迫力があった」と多くの声が寄せられています。
ゴンドラ山頂駅舎にある「ビジターセンターぷらっと」では、樹氷スタッフによる「樹氷教室」も開催され、ペットボトルの過冷却水を使った実験などを通して樹氷ができる仕組みを学ぶこともできます。誰でも気軽に予約なしで参加することができるので、事前に知識を深めてから樹氷を体感するのがオススメです。さらに、ストックやスノーシュー(雪上歩行用の靴)の無料貸し出しも♪

夜の樹氷観賞会

樹氷
※写真提供 北秋田市
普段は見ることのできない夜の森吉山を訪れることができます。
樹氷
※写真提供 北秋田市
天気が良ければ、満点の星空と樹氷のコラボレーションを楽しめます。
樹氷
※写真提供 北秋田市
圧雪車に照らされる樹氷群。昼とはまた違った迫力に圧倒されます。

毎年2月の土曜・日曜・祝日には、夜の樹氷観賞会を実施。キャビン付きの圧雪車で観賞スポットに向かい、圧雪車の光で樹氷を照らすと、白く輝く樹氷が夜空に浮かび上がる幻想的な光景を楽しめます。「日中と夜の両方を観賞される方も多く、夜の樹氷は特に見応えがあるので、オススメですよ」と吉田さん。
最近は国内外から多くの観光客が訪れ、特に台湾からの訪問者が増えていて、昨年のシーズンは約6,500人が訪れたといいます。年々来場者数が増加し、今年はさらに多くの人が訪れると期待されている森吉山の樹氷。自然の力強さと美しさを、ぜひ体感してみてください。

データ

  • 森吉山阿仁スキー場
  • 住所:秋田県北秋田市阿仁鍵ノ滝79-5
  • TEL:0186-82-3311
  • ゴンドラ営業時間:9:00〜16:00(上り最終15:00、下り最終15:30)
  • 料金:往復大人2,000円、小学生900円
    片道大人1,400円、小学生600円
  • 樹氷鑑賞期間:2025年1月7日(火)〜3月5日(水)
  • 夜の樹氷観賞会:2月の土曜・日曜・祝日 ※予約制

秋田内陸線で冬の絶景を満喫

秋田内陸線
※写真提供 北秋田市内陸線再生支援室
阿仁川にかかる秋田内陸線の鉄橋「大又川橋梁」。印象的な真っ赤な鉄橋と、そこを走る鉄道、周囲の山々の風景を写すことができると、鉄道ファンをはじめ写真家も訪れる人気のスポット。萱草(かやくさ)駅を降りて15分ほど歩いた場所から撮影できます。
秋田内陸線
※写真提供 北秋田市内陸線再生支援室
降り積もった白い雪と青空のコントラストに、黄色の車体が映える。

冬ならではの秋田の絶景を楽しむには、秋田県の内陸部を縦断する「秋田内陸線」に乗るのがオススメ。世界一の大太鼓の里である鷹巣から、マタギの里・阿仁合を通り、みちのくの小京都・角館までを結ぶ、94.2kmのローカル線です。車窓からは、四季折々の美しい自然が広がり、のどかな田園風景や渓谷美、そして雄大な山々を望めます。愛好家からは、「走る美術館」とも呼ばれ親しまれているこの鉄道に揺られながら、美しい風景を満喫しませんか?

秋田内陸線
※写真提供 北秋田市内陸線再生支援室
雪深い豪雪地帯も、たくましく走る秋田内陸線。

冬の秋田内陸線は、まるで絵画のような世界が車窓いっぱいに広がります。真っ白な雪に包まれた田園風景は息を呑むほどの美しさです。窓ガラスを叩く雪の音、列車の車輪とレールがぶつかり合う「ガタンゴトン」という音に耳を傾けて、ゆっくりと流れる時間を楽しみましょう。

レトロな風景と旅情あふれる拠点「阿仁合駅」へ

秋田内陸線
駅舎は2018年にリニューアル。

秋田内陸線に乗ったらぜひ訪れたいのが、阿仁合駅。どこか懐かしい雰囲気と現代的な要素が融合した駅です。東北の駅百選にも選ばれ、秋田内陸線の中心的な役割を担っています。
阿仁合駅のシンボルは、なんといってもその三角屋根の駅舎。遠くからでも目を引くこの特徴的な駅舎は、北緯40度に位置することから、数字の「4」をモチーフにしたデザインとなっており、「しあわせの駅」という愛称も持ち合わせています。

秋田内陸線
駅構内の様子。内陸線のオリジナルグッズや食品、お土産品などが並ぶ売店もあります。
秋田内陸線
入場券の購入ができ、特に硬券切符は鉄道ファンに人気。硬券切符は現在では珍しいため、コレクター心をくすぐるアイテムとなっています。
秋田内陸線
阿仁合駅の営業係・鯨井さん。昨年4月の入社を機に東京都から北秋田市に移住してきたそうです。レトロな「あにあい」の駅名標は、鯨井さんの出身高校である鉄道の専門学校「岩倉高校」の生徒から寄贈されたものだといいます。
秋田内陸線
自動改札ではなく、駅員さんが切符を確認してくれる温かさは、旅の始まりを心地良く彩ります。

交通系ICカードが利用できず、現金払いのみの駅は、どこか懐かしさを誘います。ICカードをかざす代わりに「きっぷうりば」で切符を購入し、時刻表を確認する…。その間に次の目的地を想像したり、窓の外の風景を眺めたり。慌ただしい日常から少し離れ、ゆったりとした時間を過ごすのもまた楽しいですよ。
さらに、駅舎内には「里山レストラン&カフェ こぐま亭」が併設され、列車の発車時刻まで食事を楽しむことができます。地元産や県産食材にこだわった洋食や和食などを中心に、バラエティ豊かなメニューを取り揃えるほか、自家製プリンや生チョコレート、チーズケーキといったカフェメニューも充実。どれも料理長が手間暇を惜しまずに作り上げています。開放感のある窓際の席に座り、線路を行き交う列車を眺めながら味わう料理は格別です♪

秋田内陸線
ナチュラルテイストで落ち着きのある、広々とした店内。
秋田内陸線
料理長の今の時期のオススメは、冬季限定の「鍋焼きうどん」950円(数量限定)。マイタケやセリといった地元食材をたっぷり入れた秋田らしさ全開の鍋。エビ天ものって、食べ応え抜群♪
秋田内陸線
森吉山の森をイメージして作られた、自然の温かみ溢れる空間。キッズコーナーも完備しているので、親子連れにもうれしい。

駅の2階にある「北秋田森吉山ウエルカムステーション」では、プロジェクションマッピングによる迫力の大型ジオラマや、森と滝をモチーフにした空間が広がっていて、森吉山の四季折々の魅力を立体的に体験できます。窓際にある「トレインビューカウンター」から、列車が眼下を走る様子を眺める…そんな過ごし方もオススメです。

データ

  • 秋田内陸線 阿仁合駅
  • 住所:秋田県北秋田市阿仁銀山下新町
  • TEL:0186-82-3666(観光案内窓口)
  • 里山レストラン&カフェ こぐま亭
  • 営業時間:ランチ11:00〜14:00(LO/13:45)
    カフェ11:00〜15:30(LO/15:20)
  • 定休日:火曜・水曜 ※12月31日〜1月3日は休み
  • 席数:24席

大ヒットアニメ映画の聖地として話題になった駅

秋田内陸線
前田南駅周辺の静けさや美しい景観は、映画に描かれた田舎町の生活感や雰囲気を想起させ、訪問者に映画のシーンを思い出させる力があります。

秋田内陸線の前田南駅は、北秋田市の五味堀という小さな集落にある無人駅。この駅が、2016年公開の大ヒットアニメ映画に登場するヒロインが暮らす山深い田舎町の駅のモデルではないかと話題になり、全国から多くのファンが訪れる〈聖地〉となっています。

秋田内陸線
前田南駅は、秋田内陸線の星空観賞に適したオススメの駅として認定されている「星の降る駅」の一つ。
秋田内陸線
2023年に駅の改修工事が行われたため、以前ほど映画のシーンそっくり…というわけではないですが、面影は健在です。

特に印象的なのは、映画の中でヒロインが東京へ向かう列車に乗り込むシーン。この背景に映る駅舎が、前田南駅の外観とよく似ているとファンの間で注目を集めています。また、前田南駅には「前田南交流ノート」が設置され、全国各地から訪れたファンのメッセージが書き込まれているのも特徴。映画の感動を共有したり、旅の思い出を記録したりと、多くの人々の交流の場となっているのです。
さらに、秋田内陸線はその沿線全体が美しい自然に囲まれたローカル線として知られ、映画の世界観と絶妙にマッチしていることも聖地とされる理由のひとつです。

秋田内陸線
ヒロインが東京行きの列車に乗り込んだ際に映る駅舎が、前田南駅の簡素で木造風の構造と似ているとの声が多いそう。
秋田内陸線
秋田内陸線は、美しい山々や田園風景の中を走る路線として有名です。この点が映画の舞台と重なり、多くのファンが共感を抱いています。

映画を見た人も、これから見る人も、前田南駅を訪れたら映画の世界観を体験できるはずです。

データ

  • 秋田内陸線 前田南駅
  • 住所:秋田県北秋田市五味堀字堂ノ前

マタギの伝統が息づく山間の秘湯へ

打当温泉マタギの湯
阿仁の山深い大自然に抱かれたマタギの里にある温泉宿。

各スポットを回った後は、マタギの始まりの地である北秋田市「打当(うっとう)」にある「打当温泉マタギの湯」で旅の疲れを癒やしましょう。秋田県内陸部、森吉山の麓に広がる阿仁地域は、マタギの里として知られる風情豊かな場所。ここにある「マタギの湯」では、日帰り温泉、食事、そして宿泊を楽しむことができますよ。

営業係長・斎藤 英昭さん
「マタギの湯」営業係長・斎藤 英昭さん。
打当温泉マタギの湯
施設に足を踏み入れると、熊の剥製と阿仁マタギの顔出し看板がお出迎えしてくれる。
打当温泉マタギの湯
日帰り客も利用できる館内の休憩所「マタギ座敷」。マタギ気分を満喫しよう。

マタギの湯の営業係長・斎藤 英昭さんは「当施設がある『打当(うっとう)』は、マタギ発祥の里とされる場所。この地名はアイヌ語で「行き止まり」や「突き当たり」を意味し、奥深い場所に位置するマタギの始まりの地に由来しています」と話します。
「マタギの湯」には、装束や狩猟道具が多数展示されている併設の「マタギ資料館」をはじめ、マタギ文化に触れるさまざまな体験ができ、特にオススメは、マタギの方から直接お話を伺える「マタギ語り」というプログラム。主に狩猟に関する興味深い話を聞くことができ、マタギの知識や文化を深く学ぶことができます。また、冬にはマタギの方とともに山に入り、雪中鍋を味わう宿泊プランも用意。マタギの里ならではの特別な体験ができるのが魅力です。

源泉かけ流しで心身ともにリフレッシュ

打当温泉マタギの湯
天然温泉がこんこんと湧き出る広々とした半露天風呂。
打当温泉マタギの湯
阿仁の熊をモチーフにした湯口も見逃せない。
打当温泉マタギの湯
目前に望む山々を眺めながら湯浴みを楽しんで。

温泉は、源泉温度56.6度の塩化物泉。湯冷めしにくく身体の芯から温まると評判です。疲労回復や腰痛、肩こりなどに効果が期待できると言われ、多くの方に親しまれています。目前に雄大な山々が広がり、 その絶景を望む半露天風呂は、心身のリラックス効果抜群! 源泉かけ流しの天然温泉で、大自然に抱かれながら至福のひとときを過ごしましょう。

マタギ秘伝の熊鍋を堪能できる贅沢宿泊プラン

打当温泉マタギの湯
熊肉のほかに、豆腐、ネギ、ダイコン、山ウドなど具材がたっぷり入った「熊鍋」。アツアツのうちに味わおう。
打当温泉マタギの湯
鍋には熊肉がゴロゴロと贅沢に入り、食べ応え抜群! 獣臭くなく食べやすいと評判高い。

「マタギの里」に訪れたら、ぜひ味わってほしいのが名物の「熊鍋」です。宿泊者限定の「特選熊鍋プラン」でのみ堪能できる一品で、多くの宿泊客がこのプランを選ぶほどの人気を誇っています。
熊鍋は、熊肉をスライスして一度下茹でし、アクをしっかり取り除いた後、お酒で煮込んで仕上げられます。味噌仕立てのスープに、隠し味としてどぶろくを加えた特製スープは絶品! 斎藤さんによると、「熊鍋は意外にも女性に人気があります。骨からたっぷりとコラーゲンが溶け出し、美容にも良いと評判なんです」とのこと。じっくり煮込まれた熊肉は、驚くほど柔らかく臭みがないため、とても食べやすい仕上がりです。阿仁マタギの伝統的な郷土料理であるこの逸品を、ぜひ一度味わってみてください。
2024年12月現在、「マタギの湯」では、冬季特別価格として「特選熊鍋プラン」1名・17,160円を14,800円で楽しめるほか、北秋田市「くまくま園」の冬眠中の熊を見ることができる「冬眠見学ツアー(温泉入浴・マタギ資料館見学付き。2月の土曜・日曜・祝日限定)」などを開催中。お得で楽しさ溢れるこの機会に、足を運んでみてはいかがでしょうか。

データ

  • 秘湯の宿 打当温泉マタギの湯
  • 住所:秋田県北秋田市阿仁打当字仙北渡道上ミ67
  • TEL:0186-84-2612
  • 営業時間:日帰り利用は9:00〜21:00
  • 休館日:年3回(不定)
  • 料金:日帰り・600円(小学生200円、幼児無料) 宿泊・冬季特別価格1泊2食付き6,800円〜(要問い合わせ。3月5日の宿泊までの限定)

まるで氷の芸術作品のような森吉山の樹氷をはじめ、北秋田市には魅力的なスポットで溢れています。北秋田市の豊かな自然に触れることができる、忘れられない冬旅を満喫してみては。

記事作成:あきたタウン情報

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