湯沢市三関地区で栽培される伝統野菜「三関せり」。諸説ありますが、今から300年ほど前、苗代を活用し稲刈り後の貴重な収入源として栽培したのが始まりだそう。寒冷なこの地ではせりがゆっくりと成長するため、地中深くまで根が伸びます。色、香り、味に優れ、根までおいしく食べられるせりとして、近年は特に人気です。
秋冬は、秋田の郷土料理「きりたんぽ鍋」の季節! 食材に欠かせないのが、色、香り、食感を楽しめることで近年人気を集めている「三関せり」です。厳寒の地で丹念に育てられる、旨みたっぷりのせりの魅力を伝えます。
湯沢市三関地区で栽培される伝統野菜「三関せり」。諸説ありますが、今から300年ほど前、苗代を活用し稲刈り後の貴重な収入源として栽培したのが始まりだそう。寒冷なこの地ではせりがゆっくりと成長するため、地中深くまで根が伸びます。色、香り、味に優れ、根までおいしく食べられるせりとして、近年は特に人気です。
湯沢市三関地区は、東に連なる山々から雄物川へと広がる扇状地にあり、古くからこんこんと豊富に湧き出す伏流水を利用してせりの栽培が行われてきました。その栽培方法や収穫の仕方は、時代が変化しても変わっていないと言われています。市場に流通されるのは10月中旬〜3月。秋田県民の鍋料理になくてはならない食材です。
「三関せり」の現在の生産者は40戸余りですが、高齢化により減少の危機が…。そんな中、2019年に仲間とともにせり栽培を法人化し、地域の課題解決に取り組みながら全国各地に販路を拡げる若き経営者がいます。農家の三代目として2011年に就農し「株式会社CRAS(クラス)」の代表を務める奥山和宣さん(39)です。
「この地区は果樹が盛んでせりの担い手は少なかったんです。それに、果樹農家は雪から木を守らないといけないので出稼ぎに行けない。担い手の確保、冬場の所得面、農家の高齢化を考えて、いずれ組織化が必要だと思った時に、同じ志を持った仲間がいたので、牽引していく組織を作ろうと始めました」と、法人化の経緯を話します。
奥山さんが憧れていたのは、仕事をしただけ成果が出る営業マン。しかし農業も、手をかければ品質が上がり、工夫した分だけ収益性につながると就農して感じたそうです。「自分の追い求めていたものは農業だなと。折角手をかけて品質を良くしているのであれば、それを直接届けたい。ブランディングをしないと生き残れないのではないかと思いました」。
父親の背中を見ながら「三関せり」の栽培を学んできたという奥山さん。法人化した現在は、農家26人と共に10月から露地栽培のせりを収穫し、終わるとハウス栽培21棟分の収穫に追われる日々です。冬場の消雪にも役立てられるほど水温が安定している地下水の使用が、豪雪地帯での栽培を可能にしています。
「三関せりの特徴はやはり根なので、根が自由に伸びるようにやわらかい土づくりにこだわっています。寒さが厳しくなってくると根を張って身を守ろうとするので、根の長さ・太さ・甘みが増してきますね。もちろん、葉の香りや食感も大事に栽培しています。2月中旬〜3月はやわらかい葉に生え変わり、最も美味しくなる時期です」。
伝統を受け継ぐ奥山さんが育てる「三関せり」は公式ホームページから購入できます。オススメの食べ方について、「シンプルにせりしゃぶが良いと思いますし、“根っこ”の天ぷらは素材の味が引き立つので絶品です」と目を細めました。「三関せり」は「道の駅おがち」などでも販売されていますので、食卓の一品に取り入れたいですね。
「三関せり」が長年栽培される湯沢市は、多くの自然に恵まれ、人気の景勝地や名湯が多く存在。四季折々の表情を見せるその姿に県内外から多くの観光客が訪れます。のんびりと湯浴みしながら自然美を満喫できる2カ所の温泉地を紹介。
湯沢市皆瀬地域には、地熱に恵まれた「小安峡(おやすきょう)温泉」があります。皆瀬川の侵食によって形成された「小安峡」。轟音とともに白い湯煙を上げる「小安峡大噴湯」は、大地の息吹を感じさせる圧巻の景色です。渓流沿いには8つの温泉宿が軒を連ね、足湯も3カ所あり、古くから温泉街として栄えた風情が漂います。
小安峡温泉の中心部に現れるのが、温泉宿や周辺観光施設などの情報を発信する「小安峡温泉総合案内拠点施設」。スタッフが温かく出迎え、天候・道路状況や宿の空き状況などを丁寧に案内してくれます。秋冬のオススメについて聞くと、「紅葉の見頃は11月上旬まで。宿や飲食店では、キノコや山菜料理が振る舞われますよ」とニッコリ。
〈周辺の観光情報ならおまかせ!〉のこの施設を語る上で外せないのが、入口の足湯です。湯巡りの途中に、また、車で約1分の「小安峡大噴湯」の散策帰りに、足湯でひと休み。無色透明でさらりとした肌触りの湯につかれば、身体がじんわり温まっていくのを感じます。タオルが販売されているので、準備がなくても大丈夫です!
秋田県最古の温泉地と言われる、風光明媚な「秋の宮温泉郷」。12軒あった温泉宿は今では5軒となってしまったものの、各宿がそれぞれ源泉を持つ極めて贅沢な温泉地です。役内川のほとりにぽつんと佇む「鷹の湯温泉」は、日常から開放され、静寂なひとときを心ゆくまで過ごせるのが醍醐味です。2025年には創業から140年を迎えます。
源泉掛け流しの温泉は保湿成分に優れているため、湯冷めしにくいと評判が高く、まさに、秋冬の強い味方です。「立ち湯と露天風呂が人気ですね!」と宿の魅力を話す関さん。大浴場にある深さ130cmの立ち湯は、全身に水圧が均等にかかるため、血流促進の効果が期待されます。日頃の疲れを癒やすべく、積極的に利用したい浴槽のひとつです。
景色を堪能したいなら、大浴場から離れた少し高いところにある、混浴と女性専用の半露天風呂がオススメです。四季の移ろいで変わる木々の表情や役内川のせせらぎを感じながら湯浴みすれば、非日常の開放感をたっぷり味わえます。紅葉の名所としても知られる温泉郷ですが、しんしんと降る雪を眺めながらの雪見風呂もなかなか趣深いです。
温泉宿を楽しむ上では、客室での時間も大事にしたいところですよね。8部屋すべてが役内川に面し、昭和レトロな雰囲気の純和風インテリアを配した佇まいは、ゆっくりくつろげると老若男女問わず好評です。静寂の中、ゆるりと流れる時間に身をまかせれば、気分も身体もリフレッシュ。いつしか疲れを忘れてしまいます。
こちらの温泉宿は、愛犬と泊まれる部屋や専用の温泉、室内外のドッグランがあることでも知られているんです。そしてなんと、フロントの横には看板犬(小型犬)が3頭! たくさんのゲストとふれあってきたその人懐っこさも、宿の人気を押し上げてきたのかもしれません。また、すぐに会いに行きたくなっちゃいますね。
「初物七十五日」という「ことわざ」があるように、旬の食べ物にはエネルギーがみなぎっています。長きにわたり多くの人の手により受け継ぎ守られてきた「三関せり」と、心身ともに癒やされる温泉で、秋冬は英気を養いましょう!
記事作成:あきたタウン情報