川連漆器とは、燻煙乾燥させたトチやブナなどの木を器の形に削り出し、漆を塗ったもの。湯沢市川連地区に伝わる伝統的工芸品です。1957年創業の「利山(りざん)」は、伝統と技術を継承しながらも新しい漆器を創造する工房ブランド。近年はイタリアのデザイナーとのコラボレーションで注目を集めています。
大切につくり継がれてきた秋田の手工芸品の中でも、一際シンプルで上品さをまとった「川連(かわつら)漆器」。産地ごとにさまざまな特徴を持つ漆器ですが、川連漆器は人々の暮らしの中で日常的に使われてきた実用漆器です。
川連漆器とは、燻煙乾燥させたトチやブナなどの木を器の形に削り出し、漆を塗ったもの。湯沢市川連地区に伝わる伝統的工芸品です。1957年創業の「利山(りざん)」は、伝統と技術を継承しながらも新しい漆器を創造する工房ブランド。近年はイタリアのデザイナーとのコラボレーションで注目を集めています。
「利山」2代目、伝統工芸士の佐藤公さんは、先代である父から技術を継承し、これまで多数の賞を受賞しています。
Q.「塗り」にはやはり自信を持っていますか?
塗りには、下地加工、中塗り、上塗りの段階があり、今は分業することが多いのですが、うちはこの工程を一貫して行っています。自分のこだわりを貫ける分、込める思いもひとしお。塗っては研ぐを繰り返して天然漆ならではの光沢と曲線美を作り出し、ゴミを付けず刷毛目が見えないように塗る「花塗り」には自信を持っています。
Q.漆器には敷居の高そうなイメージがありますが、実際はどうでしょう?
数ある日本の漆器の中で、川連漆器は比較的安価かと。昔は各家庭で大規模な冠婚葬祭をやっていたでしょう。その際に使う漆器のお膳、お椀、重箱などは人々の身近なもので、漆器産業が盛んだった川連地区では求めやすい価格で日常使いされていったのだと思います。
Q.カジュアルなデザインの評判はいかがですか?
評判は高く、お子さん用にもお求めていただいています。イタリアンデザイン漆器は、イタリアで活躍するデザイナーさんと縁あってコラボレーションが実現したもので、これまでにない新しいデザインの漆器です。アイデアさえあれば表現の仕方(技術)はあるので、何でも挑戦できるような気がします。
漆器はデリケートなイメージがありますが、木地に漆を塗っている器なので、意外にも扱い方や保管方法はシンプル。日本の伝統的工芸品に触れる日常を体験してみませんか。
Q.初めて川連漆器を使う方にアドバイスはありますか?
紫外線に弱く変色する恐れがあるので、日当たりの良い場所は避けて保管を。食器棚で言えば、乾燥を避けるためにも下の方に置いた方が良いでしょう。洗う時はぬるま湯でやさしく。何よりも、毎日使ってほしい。使っていくほどにツヤが増し美しさを放つ「経年美化」を楽しんでください。
利山で製作している川連漆器は、工房に併設するギャラリーなどで販売・受注。また、木製漆器であればどこの産地のものでも、修理に対応しています。
伝統に裏打ちされた高い技術が光る「利山」の川連漆器。一度手にすれば、しっくりと馴染む触感に心動かされることでしょう。使う人の想像をかきたてる、モダンで創造的なデザインも魅力的でした。暮らしをハッピーにする器を、自分のお土産に、大切な人への贈り物にどうぞ。
記事作成:あきたタウン情報