「本荘ごてんまり」は手まりを起源とし、独特の刺繍を施した球体の三方に房をつけた手工芸品です。色彩豊かな糸から紡ぎ出されるせいちな模様と技の粋とも言える美しさが、装飾品や贈答品として高く評価されています。
大館曲げわっぱや樺細工、銀線細工など、秋田には誇るべき工芸品がたくさんあります。職人の技が光る名品の数々は、決して敷居が高いわけではなく、日常に取り入れたくなるようなものもたくさん。あなたの琴線に触れるものと出逢えるかもしれません。
「本荘ごてんまり」は手まりを起源とし、独特の刺繍を施した球体の三方に房をつけた手工芸品です。色彩豊かな糸から紡ぎ出されるせいちな模様と技の粋とも言える美しさが、装飾品や贈答品として高く評価されています。
秋田県由利本荘市では、毎年10月下旬〜11月上旬頃に、「全国ごてんまりコンクール」を開催。日本全国から寄せられた多くのごてんまりや手まりの技術や美しさを競います。
「本荘ごてんまり」の魅力に気づき、昔ながらの製法を守りつつ、現代風にデザインしたアクセサリーなどを生み出す若き作り手が由利本荘市にいます。
由利本荘市出身の奥村潤子さん。就職のため地元から離れていましたが、2017年にAターン(※)。それまで触れたこともなかった地元の郷土玩具「本荘ごてんまり」を習ってみたいと、体験教室に参加したのが作り始めるキッカケだったそう。
※Aターンとは…秋田県へのUターン、Iターン、Jターンの総称。
Q.本荘ごてんまりに初めて触れた時、どんな印象でしたか?
球体に糸を巻く土台づくりからスタートするんですが、巻き方一つで全然違うんですよね。師事する先生が作るまりは、より完全な球体に近いです。作り始めて3年が経ちますが、私はまだまだ。そういった〈伝統美〉としての奥深さに惹かれて、のめり込んだのかもしれません。
Q.なぜアクセサリーにしようと思ったのでしょう。
最初は直径6cmくらいの手まりを作っていたんです。私は絵を描くことも好きで、いつか自分の作る本荘ごてんまりをアクセサリーにして、ファッションに合わせたいなと思いながら描いていて…。その絵を展示会で見てくださった人から、「このデザインのピアスが欲しい!」といった声を多くいただいて、じゃあやってみようかな、と(笑)。
Q.どんな作品を作っていますか。
ピアスやイヤリング、ネックレス、ブローチなどのアクセサリーから、かんざし、ヘアゴムといろいろですね。デザインは基本的に変わりませんが、配色を現代風にしたり、普通の本荘ごてんまりよりもかなり小さく作るので、それゆえの難しさもあります。
奥村さんが作ったアクセサリーは、由利本荘市文化交流館カダーレ内にある「ゆりぷらざ」や、秋田市の「秋田良品市庭 ごえん」などで取り扱い。そのほか、イベントや展示会などにも出品しています。
アクセサリーの中でも人気は、日常に取り入れやすいピアス&イヤリング(4,400円〜)。豊富なデザインの中から、お気に入りの一つを探すのもまた楽しいひとときです。
Q.最後に、今後の展望を聞かせてください。
「本荘ごてんまり」の魅力を、もっと若い人たちに広めていきたいです。この美しい伝統工芸品の作り手がいなくなるのは、とても寂しいこと。だからこそワークショップや教室などを通して魅力を伝え、実際に作り手の裾野を広げていきたい。私も作家として独り立ちできるよう、制作に励みます!
「本荘ごてんまり」は、古来よりの魅力はそのままに、新たなカタチで次世代へと受け継がれようとしています。美しい手工芸品を眺めに、ぜひ「全国ごてんまりコンクール」へ足を運んでみてはいかがでしょうか。また、由利本荘市にある「本荘郷土資料館」では、「本荘ごてんまり」を常設展示しているので、そちらも要チェックです!
記事作成:あきたタウン情報