淡いにごり湯で満たされた湯船にとっぷり浸かる。目の前に広がるのは、高峯渓谷の大パノラマ。はるか遠くに中央アルプスの山々の連なりが見え、早朝には渓谷に雲海が流れ込む様子が望めることも。晴れた夜には満天の星が瞬く。ここは標高およそ2000m、浅間連峰の尾根の上にある高峰温泉自慢の「雲上の野天風呂」。群生するアズマシャクナゲに囲まれた湯船は、まさに大自然と一体になれる極上の湯だ。

　そして、2023年12月には館内にある展望風呂がリニューアルした。３代目湯守の後藤英男さんが、父である２代目と共に３年ほど構想を練って仕上げた自信作で、浴槽には品質の良さから「木曽五木」の一つに数えられる高野槙を使用。大木の木肌を生かした山の宿らしい造りが、素朴な温泉情緒を盛り上げる。２つに仕切られた湯船はぬるめと熱めに分かれており、「交互に入浴すると血行が促進され、肩こりや腰痛に効果的です」と湯守。大きな窓から風光を眺め、ゆっくり湯浴みを楽しもう。

　一歩外へ出れば大自然が広がる宿では、さまざまなアクティビティーを用意している。本格的な天体双眼鏡で星空を望む「星の観望会」や、早朝の「野鳥教室」は気軽に参加できる。4月は高峯山、5月からは池の平湿原をガイドと歩く「自然観察会」もおすすめ。山歩きの後の温泉は、また格別だ。