吹く風も爽やかな春から夏。この季節の温泉の楽しみといえば、開放感に満ちた露天風呂の魅力に行きつく。群馬の名湯・四万温泉で、創業から117年を数える鍾寿館。宿のシンボルでもある露天「山里乃湯」は、玄関を出て少し歩いた裏手の山際に設けられている。趣の違う3つの湯船が板塀で仕切られており、それぞれ貸切利用できることでも人気。野山のような自然が湯船を囲み、春には山桜、初夏になれば青もみじ、夏にはヤマユリがほころんで、湯あみに彩りを添える。

　名物露天は館内にも、もう一つ。それが大露天「源乃湯」だ。およそ100�uはあるという広い湯処で、こちらも貸切利用できるというから、何ともぜいたく。「源泉地から湯船までの距離が近く、鮮度のよいお湯をお楽しみいただけます」と湯守の田村徹さん。鍾寿館の湯は澄んだ泉のように清らかで、やわらかな肌ざわり。プライベートな空間でのびのびと、かけ流しの湯を満喫したい。

　清流・四万川に沿って細長く延びる温泉街は、カフェや土産物屋が点在し、散策が楽しい。温泉街の最奥にある奥四万湖へ行くなら、レンタサイクルもおすすめだ。