TRAIN SUITE 四季島を支える想い TRAIN SUITE 四季島を支える想い

Vol.7:運輸車両部車両技術センター
髙木 光輝の想い

技術とデザインを結実させ、
まったく新しい夢の列車を作りあげる。

一体どのようにして、このような「夢の車両」は生まれたのか?

四季島ゴールドに輝く10両編成の列車。各所に配された、深い樹影を映し出すような有機的な窓配置。そして日本の伝統工芸の粋がモダンに表現された、別世界のようなくつろぎの和の空間――。
一体どのようにして、このような「夢の列車」は生まれたのか?
そこには、数々の鉄道技術者たちの知恵と情熱と夢が込められていた。
車両設計を担当した、運輸車両部車両技術センターの髙木光輝は、この空前絶後の夢に挑んだ、その熱き想いを語る。

まったく新しい技術

「TRAIN SUITE 四季島」は、JR東日本の新たなフラッグシップとなる列車です。この列車の特徴ですが、技術的には「EDC方式」といいまして、電車とディーゼル車の両方の機能を持っているところになります。
ふつう、電車は架線に流れる電気をパンタグラフで集電して走りますが、この列車は、架線のない非電化区間に入ると、モードを切り替えて車両に搭載している“エンジン発電機”からの電気を使用して走ります。「TRAIN SUITE 四季島」は、東日本の各地をはじめ北海道も走行しますので、電化、非電化を問わないこの機能がものをいいます。“エンジン発電機”が稼働している区間では、その迫力あるエンジン音をお客さまにも体感していただきたいですね。

技術面とそのデザイン面を融合して一編成の車両として取りまとめる

車両のデザインプロデュースは、KEN OKUYAMA DESIGN代表の奥山清行さんに担当いただきました。美しい四季と伝統を感じながらの旅を連想いただき、時間と空間の移り変わりを楽しむ上質な体験をご提供するための列車にすることが「TRAIN SUITE 四季島」のデザインコンセプトです。
東日本各地の文化や地場産業を随所に取り入れ、本物志向を追求しながら和をモダンに表現しています。先ほどの技術面とそのデザイン面を融合して一つの列車として取りまとめるのが、このプロジェクトで私の担当してきた仕事です。

まず設計の課題としては車両の「重さ」がありました。1号車と10号車にそれぞれ搭載する“エンジン発電機”や、客室、キッチンなどで使用する大量の水、そして10両編成と列車も長い。路線によっては、線路や橋梁などに構造や強度面での制約があり、例えばこれ以上重い車両は走れないという区間もありますので、車両が重くなりすぎると運行可能な路線も限られてしまいます。そこで、デザインや機能に影響を与えない範囲で可能な限り各部品の軽量化を図り、全体を作りあげていきました。

車両のデザインはとても斬新で、最初に奥山さんのデザイン画を見た時は「このデザインは非常にハードルが高く、本当に実現できるのか。」と正直不安でした(笑)。ただ、ポイントとなる先頭車両の開放感を表現した三角形の大きな窓ガラス、ラウンジ全体を覆う樹木のような有機的な窓配置など、車体強度の確保がむずかしかった点も、デザイナー、車両メーカーなどと議論を重ねて、なんとか実現することができました。
インテリアに関しては、鉄道車両特有の火災対策を施す必要がありますが、木材や和紙などは耐燃焼性を有しながらも、素材感を生かした材料を使用し、モダンな和の空間を実現させました。本物の仕上がりが達成できたと思います。

広くお客さまに受け入れていただける車両になれば

私は今回の車両設計を担当する前は、車両メンテナンスの仕事をしていました。千葉支社運輸部時代には、久留里線の新車投入を担当しましたが、新車がデビューしたとき、ご利用される多くのお客さまに車内がすごく快適になったと喜んでいただいた光景を見て、感動した経験がありました。「TRAIN SUITE 四季島」は、お客さまにこれまでにない感動体験をお届けする車両に仕上げるため、私をはじめ車両に関わる多くの関係者が全力で取り組みました。その思いが届くことを願っています。

TRAIN SUITE 四季島
運輸車両部車両技術センター
髙木 光輝

[ 写真=的野 弘路、文=鈴木 伸子 ]