東北縦貫線は、上野駅から東京駅に至る区間に新たな線路を敷設するプロジェクトで、上野駅起点の宇都宮・高崎線、常磐線の一部を東京駅まで乗り入れ、東海道線とののりかえなしで乗車できる計画である。平成23年度の調査では、京浜東北・山手線上野〜御徒町間の混雑率は197%となっており、ラッシュ時は身動きができないほどだが、東北縦貫線開通によりこれを180%以下に緩和する。また、上野駅や東京駅でののりかえが不要となり、所要時間も短縮される。例えば宇都宮・高崎線の品川〜大宮間(上野駅のりかえ)は現在56分だがこれを11分短縮できる。経済面では首都圏を南北に結ぶ輸送ネットワークを強化することで、宇都宮・高崎・常磐線方面と東海道線方面相互の交流を促進し、地域の活性化につなげていく。「各線区の運転本数を合計すると約1,000本。これまで異なる輸送体系で運転していた各支社の列車ダイヤを作成する担当者が連携し、もっとも効果的で安定的なダイヤ編成により、『第二の湘南新宿ライン』に育て上げたいと考えています」と在来線輸送計画グループの古高崇は意気込みを語る。
東北縦貫線は実現すればさまざまな面で効果の高い路線であるが、プロジェクトの計画段階では、乗り越えなくてはならない難題が数多く存在した。約3.8kmにおよぶプロジェクトの区間のなかでも、神田駅付近には新たな線路をつくるスペースがないため新幹線の直上に橋脚をつくり、その上に橋桁を架けて線路を通さなければならない。秋葉原駅や東京駅から神田駅に向かう区間は坂になるが、そのアプローチ部は通常電車の勾配の許容数値とされる3.5%ぎりぎりに設定されている。新幹線の線路内にクレーンを入れて鉄骨の橋脚を建て、その上に橋桁を架けるという大工事は世界でも初めてといわれ、最長約200mの桁架設機、運搬台車など世界に一つしかない特殊機械も数多く使われている。現地を見ればこんな狭い場所に線路が引けるのかと誰もが驚くことであろう。この難易度の高いプロジェクトは、計画から実施にいたるまで、直面する課題から逃げることなく挑み続けた土木技術者たちの努力の賜物である。2014年度の開業をめざし、一瞬たりとも気を抜くことなく技術者たちは挑み続ける。