2012年10月1日、東京駅丸の内駅舎保存・復原工事が完了し、東京駅開発プロジェクトは一つのクライマックスを迎えた。甦った赤レンガ駅舎を一目見ようと全国から多くの観光客が押し寄せ、休日は大勢の人でにぎわった。東京駅の歴史を象徴する丸の内駅舎の保存・復原を含む「東京ステーションシティ」は、日本橋口にある情報交流・発信拠点である「サピアタワー」、八重洲口の未来を象徴する顔「グラントウキョウノースタワー」「グラントウキョウサウスタワー」、街を結ぶエキナカステージ「グランスタ」が完成、今後は2013年秋にノースタワーとサウスタワーを歩行者用デッキで結ぶ「グランルーフ」と駅前広場の完成が予定されている。オフィスビルの開発・運営を通じた東京ステーションシティの価値向上および価値創造に取り組む大西真は「プロジェクトの完成後も駅と周辺の施設が一体となり、東京駅を基点としたエリア全体の価値向上の実現に向けて考え続けることが重要」と語る。
大西は東京ステーションシティの価値向上と同時にその周辺のビル開発にも手腕を振るう。例えば南口のJPタワーもその一つ。丸の内駅舎は東京都の「特別容積率適用地区」の指定を受け、駅舎の残余容積率を周辺に移転する権利を得ている。つまり駅舎を低く抑える代わりに周辺のビルをその分高層化できるのである。JPタワーもそのスキームを活用したビルで、JR東日本は共同者として事業に参加し、東京駅とJPタワーを地下で接続して価値向上に貢献している。大西によればテナント誘致の際にも丸の内駅舎が見えることが、多少なりともアピールになるという。文字通り駅と街が良い影響をおよぼし合い、お互いの事業の価値を高めあっているのである。「駅の力はすごいですね」共同事業者の担当者も口々に丸の内駅舎完成後の集客力の高さに驚いているという。では、その丸の内駅舎の保存・復原工事がどのように行われていったのかを次に見ていこう。