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JR東日本研究開発センター フロンティアサービス研究所は、駅・車内サービスのイノベーションと、これを支える安心な構造物の実現をめざして、「個々のお客さまのニーズに応じたサービスの提供」、「誰にでも使いやすい駅空間の構築」、「鉄道特有の建設技術の創造」に関する研究開発を進めています。私は当研究所の情報デザイングループでリーダーを担当しています。情報デザイングループのミッションは、「ICT(情報通信技術)を活用した新しいサービスを創造する」ことです。情報をデザインするという言葉は聞き慣れないかもしれませんが、お客さまの視点で、いかにわかりやすく的確に情報を伝えるかを研究する分野です。代表例として、主要駅に設置している「異常時案内用ディスプレイ」が挙げられます。従来、列車運行が乱れたときの情報は音声と文字で伝えていましたが、路線図を活用し、視覚に訴えることによって、よりわかりやすい表現と情報の伝達を可能にしました。
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列車運行が乱れた際の情報提供の方法として、路線図を活用するアイデアは以前からあったものの、なかなか現実的な方法が見つかりませんでした。そうしたなか、列車の発車時刻や行き先などの情報を表示する“発車標”に使用している文字情報のデータ形式を活用する形で開発に着手しました。開発を進めるにつれ、鉄道情報を提供するには多様なノウハウがあり、システム化が一筋縄ではいかないことがわかりました。そこで過去に学んだ情報通信の知識や人脈を活かすことで、課題を丁寧に一つひとつ解決していきました。また、わかりやすい画面インターフェイスのデザインなど、さまざまな議論を重ねて行った上野駅での最初のフィールド試験は、お客さまアンケートでも評価されました。さらに振替情報を付加するなどの改良を重ね、東京駅で行った2度目のフィールド試験では、お客さまはもちろん東京駅社員にも非常に好評で、われわれのコンセプトの正しさに手応えを感じることができました。こうして、当時発足して間もないお客さまサービス部主導で実導入の運びとなり、2007年2月、ついに秋葉原駅に1号機が設置されました。今ではJR東日本の100以上の駅に設置されている他、東京メトロやJR西日本でも同システムが導入されるなど、異常時情報提供のスタンダードを築くことができたと自負しています。
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JR東日本研究開発センターに建設されたSmart Station実験棟を核に、フロンティアサービス研究所をICTサービスの分野で世界から注目される研究所に育てあげることが私の夢です。単にJR東日本管内に実導入するだけではなく、われわれが発案し研究開発したものが、世界中の公共交通機関で利用されることをめざしたいと考えています。海外で導入される際には、カリフォルニアでの2年間の先端技術調査のノウハウを活かし、海外にフロンティアサービス研究所の分室をつくり、世界中にネットワークを張り巡らせることによって、世界のICTサービス分野を牽引したいと思います。

