


地元の専門学校で情報制御システムについて学んだ後、モノづくりに携わりたいと考え、半導体製造装置メーカーに就職し、主に機器の設計・組立やメンテナンスに携わっていました。JR東日本に入社するまでは、ほとんど地元を離れたことがありませんでしたが、駅でJR東日本の社会人採用の広告を見かけ、新幹線を支えるスケールの大きな仕事にチャレンジできるフィールドが隣県にあることを知り、応募を決断しました。前職では機器の設計からメンテナンスまで幅広く担当し、メンテナンスや故障調査のスキル、技能士の資格を身につけることができました。しかし、次は新たなフィールドとして、鉄道事業という社会的責任の大きな会社で、自分の可能性を試してみたいという思いから入社を決めました。

JR東日本では、各地の車両センターが協力し合う「メンテナンスネットワーク」により、新幹線車両のコンディションを保っています。このネットワークの中心となるのが「新幹線総合車両センター」です。車体から各種部品を取り外し、詳細に検査を行う「全般検査」をはじめとするあらゆる検査や修繕、車両改造、開発試験などを実施するとともに、他の車両センターに対する資材供給や技術教育、保全技術の開発・管理などを行っています。そのなかで私が所属するネットワーク管理グループのミッションは、それぞれの車両センターで修繕をスムーズに進めるために調整を行うことです。交換用資材の在庫確認や調達の要請、問題解決支援、不具合情報の発信など、業務内容は多岐にわたります。お客さまの意見にもとづき、運行中の車両で調査、確認することもあります。車両修繕は、修繕スタッフをはじめ、車両の運用調整や交換資材の調達に携わる社員などとの連携で成り立っているため、チームワークで修繕を成し得たときに大きな達成感を感じます。

東日本大震災発生時、私は、全般検査の終了間近の車両で機能検査を行っていました。激しい揺れのなか、検査中の車体は損傷し、線路は歪み、センター全体が機能を失いました。そのため、他の車両センターで代替可能な定期検査は、修繕スタッフを派遣して対処しましたが、台車検査(モーター、車輪などの主要部品の検査)と全般検査は当センターでしか行えません。ようやくセンターへの立入りが許可され、全般検査を再開できたのは、2011年4月26日のこと。震災後初めての全般検査出場車両の総括責任者として試運転などを担当することになった私は、約1ヶ月間、何もできなかったもどかしさを振り切ろうと業務に没頭しました。当時は東北新幹線の一部区間に速度規制がかかっており、通常行っている仙台〜北上間の試運転では最高速試験を実施できなかったため、仙台〜長野間で試運転を行うという特殊な条件下でしたが、無事に終了。仙台に戻ったとき、言葉では言い表せないほど感慨深いものがありました。
近年、JR東日本では、新型新幹線(E5系、E6系)を次々に投入し、まもなくE7系の投入も控えているなかで、新技術に対応した検査・修繕方法を確立することが重要な課題となっています。このとき必要になるのが、自ら考える姿勢です。「何のためにこの検査をやるのか」「発生頻度の多い不具合を無くすには、どのように修繕し、再発防止策を講じるのか」とつねに考えながら、最適な検査方法を確立したいと考えています。新幹線は「技術の宝庫」と呼ばれるだけに、何事にも物怖じせず、積極的にかかわっていき、経験に磨きをかけたいと思っています。
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| 各車両センターからの要請に対応する | 新幹線メンテナンスネットワークの窓口として、故障・破損した資材の手配要請を受け付けるほか、調査方法などさまざまな問合せに対応して、アドバイスを行う。 |
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| 日々の故障発生状況の把握 | 依頼のあった車両センターに資材を発送する手配を行うほか、重要部品の在庫状況をつねに把握し、必要に応じて関係部署に補充の手続きを行う。 |
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| 故障傾向の分析 | 各車両センターでの故障発生傾向を車両管理システムのデータを活用して分析し、所内の関係部署と打合せを行い、ハード対策など計画的な修繕の必要性について検討する。 |
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| 故障情報の発信 | 各車両センター共通で実施する故障対策について、ネットワーク検修情報として発信する。 |
半導体製造装置や自動車部品、全自動麻雀卓などを製造する機械メーカーに10年間勤務し、樹脂成形機の設計から組立、メンテナンスまで幅広く担当。手先の器用さや、細やかな機械調整力が必要とされる仕事でした。
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