


普段は車通勤をしており、めったに電車に乗ることがなかったのですが、その日は職場の歓送迎会があり、たまたま電車に乗ったところ、JR東日本の社会人採用の採用広告に出会いました。小さいころから乗り物好きで、特に電車は自分にとって身近な存在でした。実は大学卒業時にもJR東日本への就職を考えていましたが、当時は残念ながら縁がなかったのです。大手プリンターメーカーの品質管理者として、28歳当時、すでに20人近くのメンバーを抱えるチームリーダーを務めていた私は、日本のモノづくりの最先端に触れていられることや店頭で自分が担当した製品を目にすることの喜びも感じていました。それまで全く転職など考えたこともなかったのですが、この偶然に縁を感じずにはいられませんでした。前職とは全く異なる業種への転職は、ゼロからのスタートになりますが、失うものは何もない!努力すればなんとかなる!そんな人一倍強いチャレンジ精神で応募しました。

長野総合車両センターは、首都圏と長野を結ぶ中央線を走る「あずさ」をはじめとする新系列の特急車両から、新潟方面を結ぶ旧型の近郊電車や気動車まで、幅広い車種のメンテナンスを行っています。車でいえば法定点検や車検のように、一定期間ごとに定められた車両検査を実施しています。現在、私が担当している品質保証業務は、故障が発生した車両の調査を実施し、故障原因の究明と対策の策定を行っています。自分が策定した対策の成果はすぐに出るものではありませんが、その対策が功を奏し、車両故障の再発がなくなっていくことが一番の願いであり、やりがいにもつながっています。故障がなく品質の高い車両を提供することがメンテナンスを担当する私たちの使命であり、安全はお客さまへの最大のサービスであると思っています。ときには、関係箇所に厳しい要求をすることもありますが、“車両故障ゼロ”に、とことんこだわり続けたいと思っています。

2007年7月に新潟県中越沖地震が発生し、柏崎駅構内で長野総合車両センターの受け持ち車両が脱線しました。私も、急きょ復旧作業の一員として現場に駆けつけたところ、車体を傾けながらも、辛うじて転覆は免れているという状況でした。足元は濡れて滑べり、時折余震が続くなかでの復旧作業は、通常の業務環境とは全く異なるものでした。緊張感の高い状況のなかで、先輩方と力を合わせて復旧作業に携わったことは忘れがたい貴重な経験になりました。このような異常時は、起こらないことが一番なのですが、いつ発生するかわからない地震などの自然災害が起きたときのことを、平常時にこそしっかり訓練し、イメージトレーニングを積み重ねてノウハウを蓄えておくことが必要だと感じました。何かが起こったとしても、地域の皆さまの足として必要とされている鉄道をいち早く復旧させるという使命感と誇りを持って業務に取り組むきっかけになった出来事です。
車両品質保証業務に携わる者としては、迅速かつ的確な車両故障の再発防止策を策定できるようになることが今の課題です。もうひとつには、技術者の世代交代が進む現状において、長い歴史が培ってきた技術を確実に継承していくために、私たちの世代がしっかり技術を吸収し、自分のものとして発揮できるよう身につけなければならないと考えています。今後は、個々の記億だけではなく、記録に残していくということにも積極的に取り組んでいきたいと考えています。また、いろいろなチャレンジの機会を活かしていきたいです。
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| 車両故障発生 | 故障が発生した車両の情報をいろいろな方向から収集する。発生区所からの情報だけでなく、現地・現物で調査する。 |
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| 故障調査・報告 | 車両または機器単位で施工科と詳細な解析を行い、報告書として関係箇所へ会議で報告。 |
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| 対策の策定 | 関係箇所と対策の費用、資材購入準備、施工方法などの議論を行い、再発防止策を策定する。 |
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| 対策の周知 | 施工科、区所へ品質管理文書にて故障対策について周知し、今後のメンテナンスに反映するよう指示する。 |
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| 対策後の分析 | 故障対策によるメンテナンス後の車両のデータを管理し、故障の対策の効果を測る。 |
航空工学科を卒業後、5年間、検査技術者として大手プリンターメーカーに常駐し、レーザープリンターやネットワークインターフェイスの性能検査や環境検査などの品質保証業務を担当していました。
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