


ものづくりを通じて、人々を笑顔にできるような仕事に携わりたいと考えていたときに、駅でJR東日本の社会人採用募集のポスターを見て、人々の生活に密着していて社会貢献度の高い鉄道の仕事に携わってみたいという思いを持つようになりました。大学時代に土木工学を専攻していたものの、即戦力として期待される社会人採用で、土木関係の実務経験がない私が評価されるのだろうか、という不安はありました。しかし、幼いころから通学や通勤のほか、新幹線や蒸気機関車、寝台列車などで数えきれないくらいの旅を経験してきた私にとって、鉄道は身近な存在であり、時刻表通りの正確な運行を当然に期待されて人々の日常に溶け込むものであると同時に、非日常的な旅行などを通じて、夢や感動を与えてくれます。あらゆる角度から人々に貢献できる仕事への魅力が、チャレンジする気持ちを後押ししてくれたのだと思います。

高崎支社管内に設置されている橋りょうの検査業務を担当しています。具体的には、定期的に行う全般検査で発見した変状のデータを土木構造物管理システムに入力し、さらに詳細な調査が必要な箇所は再度、個別検査を実施。このデータをもとに工事セクションと打合せを行いながら変状から補修方法までを検査報告書にまとめています。高崎支社は在来線と新幹線を有し、高崎線のような通勤線区や上越線、吾妻線といった山間線区など、さまざまな線区を持ち合わせており、橋りょうの形式、材質、構造、建設年代は多種多様です。同形式、同構造であれば同様の変状が起こる可能性が高いものの、設置環境が異なれば変状や劣化の進行具合に違いが生じるため、まったく同じ状態の橋りょうは存在しません。そのため、橋りょうごとに詳細なカルテを作成します。机上で学んだ知識や、実際の現場で確認した変状、先輩から学んだ補修ノウハウを結びつけて、橋りょうごとに対応することにより、着実に仕事の幅が広がっていることにやりがいを感じています。

入社1年目の年末に、初めて検査報告書を作成した橋りょうは、今でも愛着があります。吾妻線にある川に対して斜めに架けられた古い橋で、桁と橋台が接触する部分が大きなひび割れを起こしていたため、本社建設工事部構造技術センターの協力を得て個別検査を実施。先輩や構造技術センターの方から施工方法の考え方を学ぶことができた貴重な経験となりました。業務範囲が現場調査から検査データ入力までのころは、正確に検査を行うことに精一杯で、変状をどうするのかという先々のことまでは意識していなかったように思います。自分でそれぞれの橋りょうに最適な施工方法を考え、検査報告書にまとめるには、橋の構造や地震の影響などの変状原因、予算、線区の重要度、設置環境など、さまざまな要因を考慮しなければなりません。検査を行う際には、補修の背景から実際の補修作業に至るまで、補修の全体像をイメージすることを心がけるようにしています。
2011年度から開講された社内の「基礎技術技能研修」で、鉄道事業における施設関連業務や鉄道土木業務の知識をしっかり修得できたほか、先輩や同僚に恵まれたおかげで、新たな環境でも自信を持って業務に取り組むことができました。そして研修で東日本大震災の被災地を視察した際、被害の大きさを目の当たりにしたことで、JR東日本の土木として今、何をするべきかを同期と語り合ううちに、鉄道防災にかかわりたいと思うようになりました。そのために今後は、技術士の試験にチャレンジするなど、土木の専門知識を身につけることに加え、他部門の知識を積極的に学ぶ姿勢と、自らの仕事に対する自覚と責任を持って行動したいと思います。
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| 現場調査 | 全般検査で定期的に点検を行う。検査項目は橋りょう素材や形状などによりすべて異なる。 |
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| データ管理 | 検査データを土木構造物管理システムに入力。 |
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| 施工計画の検討 | 異常が見つかった箇所は個別検査を実施し、データに基づき修繕計画を策定。 |
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| 工事依頼 | 施工会社へ工事内容を説明し、修繕を実施。 |