JR東日本からのプレスリリースを年度別に掲載しています。(JR東日本広報部)
資料5
 
新潟県中越地震による新幹線の脱線現象の解明と脱線対策について


1. 調査体制
 当社は2004年10月27日、「とき325号」の脱線過程を解明するため、社内に上越新幹線脱線調査専門委員会(委員長;田中常務取締役)を組織し、これまで約1年にわたり構造物・軌道・車両などの損傷状況や現場残留物の成分分析、ボーリングによる現場付近の地盤調査などを進めてきました。
 この脱線過程については、国土交通省の航空・鉄道事故調査委員会において調査が継続中です。
 なお、調査・分析・解析等にあたっては、(財)鉄道総合技術研究所の全面的なご協力をいただいています。
2. 脱線過程の調査状況
(1)脱線は地震動により発生
 「構造物の損傷」や「構造物の沈下」はいずれも軽微であり、脱線事故を誘発した原因であるとは考えられず、脱線は地震動により発生したと推定しています。

(2)地震動により11軸が脱線、更に脱線した車輪による軌道破壊も加わり合計22軸が脱線
 軌道上に残った痕跡等から、206k227付近において10号車の第4軸(進行方向である最も新潟よりの車軸)が最初に脱線し、その後数回の脱線により11軸が脱線しました。
 さらに脱線した車輪により軌道が破壊され、一部で左右のレール間が拡がり、後続車軸が脱線し、最終的に10両編成40軸中22軸が脱線したと推定しています。

(3)脱線後もレールにより列車が誘導され、停止するまで列車の姿勢を保持
 列車の各車両が分離しなかったことと、先頭車両である10号車の第4軸以降数箇所で「車輪と台車部品の間にレールを挟み込んだ状態」でレールに沿って走行したことにより、停止するまで列車の姿勢を保持できたものと考えられます。

(4)接着絶縁継目(IJ:軌道回路の境界点で電気絶縁されたレール継目)の破断により、1号車は中央返送水路に傾斜
 複数の脱線した車輪が206k696にあるIJを破断し、IJの前後のレールに食い違いができたところに車輪等が衝撃したため、レールが上り線側へ大きく屈曲したと考えられます。その結果、最後尾の1号車は、屈曲したレールにより上り線との間にある中央返送水路に向かって誘導されたものと考えられます。
3. 脱線対策
 これまでの調査結果及び航空・鉄道事故調査委員会の経過報告(平成17年1月)、新幹線脱線対策協議会の中間取りまとめ(国土交通省鉄道局 平成17年3月)を踏まえ対策案の開発を進めています。そのうち3件が試作段階です。
  • 車両ガイド機構
脱線後の車両がレールから大きく逸脱することを防止する。
  • レール締結装置の改良
車両が脱線し、レール締結装置が破損しても車輪をレールで誘導できるようにレールの転倒ならびに大幅な横移動を防ぐ。
  • 接着絶縁継目(IJ)の改良
脱線した車輪による接着絶縁継目(IJ)の破断を防ぐ。

別紙
概要図 [PDF/543KB]
車両ガイド機構 [PDF/52KB]
レール締結装置の改良 [PDF/55KB]
接着絶縁継目の改良 [PDF/40KB]


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