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社長インタビュー

Question 3

「収益力向上への挑戦」を重点課題に据えて、JR東日本グループとして具体的にどのように取り組んでいくのか。

Answer
  • 鉄道事業において、拡充した新幹線ネットワークをフルに活用して新しい旅客流動を創り出すとともに、インバウンド需要の取込みにも挑戦していく。
  • 生活サービス事業において「駅を中心としたまちづくり」に重点的に取組むとともに、IT・Suica事業において、ビッグデータ活用などの新しいビジネスに挑戦し、各事業間の相乗効果の創出にもつなげていく。

「収益力向上への挑戦」の狙いは、「自主自立」の経営をさらに盤石なものとする点にあります。あらゆる分野で新たなビジネスチャンスを掘り起こし、営業収益の最大化に向けて挑戦していくことで、民間企業として持続的な成長を実現していく。この基盤があってこそ、鉄道という社会インフラを担う企業として社会的責任を果たし、「地域密着」という理念も実現できるのです。

現在、当社は鉄道収入が約1兆8,000億円ありますが、そのうち約3分の2が関東圏在来線、約3分の1が新幹線によるものです。これを踏まえ、関東圏在来線を中心とした安全・安定輸送の確保こそが最大の増収策であると私は社員に言い続けています。駅や旅行センターなど、お客さまと対面する社員だけでなく、運転士や車掌、工事・メンテナンス関係など、あらゆる立場の社員が、収益力を向上させるという執念を持ち、収入を掘り起こすために挑戦していかなければなりません。

そして、挑戦の舞台は新幹線にもあります。北海道新幹線新函館北斗開業や北陸新幹線金沢開業を踏まえ、拡充した新幹線ネットワークをフルに活用して新しい旅客流動を創り出していきたいと思います。東北新幹線や北陸新幹線は東海道新幹線に比べビジネス利用の割合が低く、新しい観光流動をいかにして生み出していくかが大切です。「大人の休日倶楽部」のような、アクティブシニア層に対する取組みは従来から行ってきましたが、これからは若い人にターゲットをあてて、鉄道の旅をもっと楽しんでもらいたいと思います。当社は2017年の夏休みに、農業体験や漁船での魚釣り、森林浴や川遊び、牧場遊びなどの体験型の旅行商品「フレテミーナ」を提供します。農家や漁村での民泊といった新しい旅行のスタイルを子どもたちにも伝えていきたい。アクティブシニアだけではなく、若い方々に鉄道を使った観光需要を広めていきたいと思います。

また、地域活性化のためにも観光は非常に重要です。観光産業の9割は国内の旅客流動ですが、特に東北地方では東日本大震災以降、観光需要が減少したままです。地域と一体となって、今まで見たことのない、経験したことのない観光資源を掘り起こし、ブラッシュアップして情報発信していこうと思います。2017年5月には、クルーズトレイン「TRAIN SUITE 四季島」が運行を開始しており、東日本エリアの各地域の観光資源を活かして、非日常の贅沢やプレミアムな時間・空間という鉄道の旅の楽しさを味わっていただいています。これらの取組みを「種」として、新たな流動の創出につなげていきたいと思います。

観光に関連して、最近では「キッズウィーク」という構想があります。小学校・中学校の夏休み期間の一部を分散させようという取組みです。日本の観光産業は、夏休みやゴールデンウィークに偏って大きな需要が発生するため、どうしても生産性が低くなってしまいますが、夏休みが分散されれば、観光するお客さまにとっても混雑解消につながりますし、観光産業の生産性も高まります。働き方改革の流れも踏まえ、分散しながら皆で上手く休むことができれば、新しい観光流動ができ、地域に新しい雇用や成長力が生まれると思います。

加えて、インバウンド需要の取込みも重要な挑戦の1つです。2016年の訪日外国人旅行者は2,400万人と増加傾向が続いており、日本政府は2020年には4,000万人、2030年には6,000万人を目指す方針です。残念ながら、東北地方には訪日外国人旅行者の1%程度しか訪れていないのが現状ですが、これは今後の可能性の大きさも示しており、旅行者の5%でも10%でも東北地方に旅行していただけるよう、地域の皆さまと連携していきたいと考えています。このような取組みを通じて、2017年度は240億円(対前年約120%)のインバウンド収入(鉄道運輸収入)を目指しています。

もちろん鉄道事業だけではなく、生活サービス事業においても収益力の向上に挑戦していかなければなりません。具体的には、エキナカや駅周辺の開発が重要なテーマとなります。当社グループは、これまではエキナカの開発が中心でしたが、これからは駅を中心としたまちづくりに重点的に取組んでいきます。特に、品川駅・田町駅の周辺エリアについては、2020年春の暫定開業をめざす品川新駅(仮称)を中心に、新たな国際交流拠点として、駅を中心としたまちづくり計画を推進していきます。日本が誇る技術と文化を凝縮することで、海外のお客さまには「日本のゲートウェイ」、国内のお客さまには「世界へのゲートウェイ」となるような「国際都市・東京の新たな象徴」をつくりたいと考えています。あわせて、東京、渋谷、新宿、横浜、千葉及び仙台などにおいてもターミナル駅を中心としたまちづくりに取り組んでいます。千葉駅周辺では2017年春に駅ビルの一部が新たに開業し、駅が変わることによりまちの人の流れが大きく変わりました。そのほか、「地方中核駅を中心としたまちづくり」にも取組んでいます。自治体が進める「コンパクトシティ構想」などを踏まえて、二次交通との連携強化や地域の交流拠点化を進めるとともに、育児、介護、医療、健康、教育、文化などのサービスを提供できる駅づくりを、首都圏だけではなく地方中核都市でも展開することにより、地域を元気にし、交流人口を増やすことができると考えています。駅は列車の乗降の場だけではなく、まちの人の流れを決める重要な拠点だと認識しており、今後も駅を拠点とした魅力あるまちづくりに向けて地域の皆さまと力を合わせていきたいと思います。

鉄道事業、生活サービス事業に続き第3の柱と位置付けるIT・Suica事業については、現在は電子マネーの決済サービスが主たる収益源ですが、今後は、いわゆるクラウド型のSuicaシステムを公共サービス等にも広めることにより、システム利用の対価を得ていくということもあり得ると思います。決済サービスについても、2016年10月から「Apple Pay」への対応を開始しましたが、それに留まらず、SNSなどの様々な外部情報サービスと組み合わせることにより、多様な場面でSuicaを決済にご利用いただけるようになると思います。さらに、Suicaから得ることができるビッグデータを活用して、新しいビジネスを創り出し、お客さまへのサービスをレベルアップするための手段としても活用できるのではないかと考えています。駅にどのようなお客さまが来て、時間帯によってどのように行動し、その後どのような所へ行かれるのかという、お客さまの移動情報と購買情報の両方を当社グループは保持していますので、活かしていきたいと思います。IT・Suica事業で新たな収益源を掘り起すことにより、各事業間の相乗効果を生み、鉄道サービスの向上や旅客流動の拡大、新たな生活サービスの創出につなげていくことができると考えています。

今まで申し上げてきた取り組みを通じ、各事業の収益力をより一層高めることで、着実に業績を向上させることができると考えております。3年後の2019年度には、営業収益を約3兆円、営業利益を約5,000億円とすることを目指します。

収益力向上への挑戦 画像

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