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まずは「安全な輸送」に関して、東日本大震災の教訓を踏まえ、災害対策として新たに取り組む課題を教えていただきたい。また、震災が発生した場合の財務面での備えは今後どのようにしていくのか。

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従来から進めてきた耐震補強などの地震対策の効果を踏まえつつ、「災害に強い鉄道づくり」をはじめとした「究極の安全」への挑戦を続けます。2012年度の設備投資については、安全投資などを含めた維持更新投資に約3,000億円を充当します。一方、地震に対する財務面の備えとしては、地震保険と地震デリバティブの組み合わせによるリスクヘッジを継続していきます。
地震対策については、阪神・淡路大震災や三陸南地震、新潟県中越地震などを踏まえ、高架橋柱・橋脚・トンネル・駅舎などの耐震補強対策、列車の逸脱防止対策、地震計の増設などを着実に進めてきました。東日本大震災では、構造物に大きな被害がなく、ご利用のお客さまの死傷事故も発生しなかったことから、これまで取り組んできた地震対策が一定の効果を発揮したと考えています。しかし、幸運に恵まれた部分があったことも事実ですので、謙虚な気持ちで安全性のさらなる向上に取り組んでいきます。
具体的には、高架橋柱の耐震補強の前倒しと対象範囲の拡大、盛土の補強、駅・ホームの天井や壁の落下防止対策、電化柱等の耐震補強、地震計増設による地震観測体制の強化などを進め、「災害に強い鉄道づくり」を目指します。これらの対策に要する費用は総額約3,000億円を見込み、概ね今後5年間を重点的な整備期間として推進していきます。これまでに耐震補強対策については約1,800億円を投じてきましたので、今回発表した内容を含めると総額約4,800億円の投資額ということになります。非常に大きな投資になるわけですが、首都直下地震の可能性などを踏まえると、現時点で考えられる対策は着実に打っておく必要があると考えています。
もちろん、設備投資については、経営の安定性とのバランスを考慮し、過剰投資により財務体質を悪化させないことが前提です。2012年度の設備投資計画は、連結ベースで4,800億円を計画していますが、このうち、安全投資や輸送の安定性向上を含めた事業の継続的運営などに必要な維持更新投資には3,040億円を充当します。この維持更新投資については、基本的に減価償却費の範囲内で実施することとしており、財務の健全性を維持しつつ、「災害に強い鉄道づくり」を着実に進めていきます。
また、財務面での備えについては、東日本大震災発生時に、線路設備等の土木構造物を対象とした地震保険(最大補填限度額710億円(免責額100億円))、そして、地震デリバティブ契約(最大受取額260百万ドル(約200億円))を締結していました。地震デリバティブについては、震源地に関する条件を満たさなかったため適用されませんでしたが、地震保険については、2012年度中にまずは200億円程度の受取ができると見込んでいます。今後も、地震被害による急激な財務体質の悪化を防ぐために、土木構造物を中心とした地震保険、首都直下地震に備えた地震デリバティブを併用し、リスクヘッジを継続していく方針です。
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