「私は、立川の米軍ハウスで生まれ育ちました。そこは今でも隣近所の子供たちに声をかけたり、叱ったり、地域全体で子育てをするようなコミュニティなんです。それが当たり前だと思っていたのですが、実際に社会に出てみると、それほどの踏み込んだ付き合いは少なく、人との距離感が意外と遠いことに気がつきました」 そんな距離感を縮めて、どうしたら街の中に人とのつながりを作っていけるだろうかと酒村さんは模索を始めました。そこで、まずは人が集まる「きっかけ」と「場所」を作ろうと考え、定期的に友人たちに声をかけて集まりを開くようにしたそうです。 |
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「そういった活動をしていたある日、現在姉妹校となっているシブヤ大学のスタッフとの出会いました。『学び』をテーマにして、年代や性別を超えた人々が集まっているのを見て、とても面白いと感じて。私の住む街でも、ぜひ同じような活動をしたいと考え、当時の仕事を辞めこの活動に飛び込みました」 シブヤ大学のスタッフが培ってきたノウハウを学び、2009年8月頃には地域活動に参加をしてみたいという熱意を持ったスタッフも決まりました。メンバー同士がコミュニケーションを取るところから始めて、地域の範囲、開校の時期、大学を知ってもらうための活動など、ひとつひとつ話し合いをしながら決定をしていったそうです。
「2010年1月に、西側地域のハブとなっているキーパーソン50名の方を集めて、東京にしがわ大学を広めていただくためのキックオフイベントを行いました。役所の方や企業関係者、カメラマンやアーティストの方など、さまざまな人に参加していただくことができました。そして6月にはオープンキャンパスを実施、7月から9月まではプレ授業として月に一度の授業を開始し、10月の開校を迎えました」 現在は、毎月第二土曜日に3つの授業を行っています。内容は、協賛授業から趣味に特化したものまで多種多様。居住の地域に関わらず、興味を持った授業に誰でも参加することができます。最近は、同じ趣味を持った人が定期的に集まる部活動も始めました。 |
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実際に運営をしてみて、難しいと感じたことは授業の企画運営を行う授業コーディネーターの育成だったそうです。
「コーディネーター自身が面白いと思っていること、興味を持っていることを授業にしています。それが、クオリティの高い授業を作る最大のポイントだからです。充実した授業を作るためには企画力が必要なので、実力のあるコーディネーターを探している一方で、育成にも力を入れています」 |
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今後の方向性について伺ってみると、多摩地区にある30市町村すべての場所で東京にしがわ大学の知名度を高める説明会を実施すること、そして各地域に大学の拠点を置いて、ゆくゆくは運営も行っていきたいなど、大きな夢と展望があるそうです。
「最初は生徒でいらっしゃって、運営に参加したいとスタッフになった方もいます。大学を開校して、街に関わりたいと考えている方が大勢いることに気がつきました。東京にしがわ大学は、そうした方々の気持ちを繋いでいける場所にしていけたらと思っています」 |
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※東京にしがわ大学は、学校教育法上で定められた正規の大学ではありません。生涯学習とまちづくりを推進する特定非営利活動法人(申請予定)です。 |