研究開発
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研究開発ストーリー
タッチ&ゴーで改札を通過できます。「Suica」誕生までの軌跡
5.タッチアンドゴーへ
 2回目の試験の結果で実用化の可否が決定されると考えていた開発グループは、打ちのめされていた。「7年近くも開発に取り組んでいたにもかかわらず、試験がうまくいかなかったからには研究開発は中止になるかもしれない。」三木は覚悟した。ところが、試験結果の報告を受けた研究開発担当役員からの指示は心強いものであった。「将来の自動改札機は必ず非接触ICカード式になる。今回の問題点を徹底的に改良して、もう一度挑戦しろ!」

  三木たちは不安定さの主原因である電池の不具合に対応するため、カード自体に電池を持たせず改札機側から無線で電源を供給することにした。しかし、これが新たな問題を引き起こした。電池のないカードは前よりもさらに半球型の通信エリアが小さくなるのである。これではICカードと読み取り機の通信時間がこれまで以上にボトルネックになってしまう。三木たちは通信時間を十分にとれる方法を模索した。お客さまの流動をさまたげては自動改札機の意味がない。スムーズに自動改札を通過しながら、ICカードができる限り長い時間通信エリア内にある方法を考える必要があった。

  そもそも、ICカード型の自動改札機はICカードを改札機に「かざす」だけで通過できるということが「売り」の一つであった。それが問題だったのである。「かざす」というあいまいな動作ではどうしても半球型の通信エリアの上部分だけの通信時間しかとれない。そこで、非接触ICカードなのに、読み取り機に「触れて」もらうことにした。こうすることでお客様はパスケースからカードを出し入れすることなく、しかも読み取り機に触れることで十分な通信時間をとることができる。三木たちはこれを「タッチアンドゴー」と名づけた。


「かざす」から「ふれる」概略図
▲「かざす」から「ふれる」へ

 「触れて」もらうためには、自動改札機の前に立つと自然と読み取り機に手が伸びるようなインタフェースを作らなければならない。マンマシンインタフェースの研究者も加え、さまざまな形の読み取り機を作り、田町駅の自動改札機に実際に組み込んで試験を繰り返した。そして、手前に15度程度傾け、触れる箇所をLEDで明るく表示する方法が最も効果的であることを突き止めた。

  改良を重ねた自動改札機を携えて、開発グループは3回目のフィールド試験に挑んだ。通信異常はこれまでの2回に比べて激減した。電池を持たないカードシステムはトラブルも無く、約7ヶ月にわたって行なわれたフィールド試験は大成功であった。
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