研究開発
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研究開発ストーリー
タッチ&ゴーで改札を通過できます。「Suica」誕生までの軌跡
4.失敗したフィールド試験
  細々と研究に取り組んでいた開発グループであったが、その成果は着実に実を結んでいった。研究を始めて2年がたち、三木たちはフィールド試験を行なう段階までこぎつけていた。フィールド試験を行なうためには技術開発部隊だけでは行なうことができない。この段階から、鉄道オペレーション部隊である、設備部旅客設備課(当時)の椎橋章夫が開発に携わるようになった。

椎橋章夫氏
▲椎橋章夫氏

  1994年2月、ICカード型の自動改札機を使った初めてのフィールド試験が行なわれた。2種類の改札機が用意され、400名のモニターが集められた。

試験に用いられた改札機の写真
▲試験に用いられた改札機

 三木や椎橋たちは実験室内での試験を何度も繰り返し、実用化レベルに近づいたと判断していた。しかし結果は散々なものであった。ICカードと読み取り機の通信処理がうまくいかず、磁気型カードの20倍もの異常が発生したのである。これは、読取装置の通信エリアがラグビーボールのような形をしており、ICカードを読み取り機に近づけるとかえって通信時間がとれないためであった。通信状態がどのように行なわれているか分かっている研究者が実験室内で行なう試験では、それまで気づかなかった現象であった。三木たちは、通信エリアの形をラグビーボールから半球型に変更し、再度室内試験を繰り返した。

ICカード読み取りエリアの変更図
▲ICカード読み取りエリアの変更

 実験室内での試験を再三行ない、再度フィールド試験に挑んだ。しかし、またたくさんの通信異常が発生した。カードに内蔵した電池が引き起こす異常が多かった。万全に近い自信をもって試験に臨んだメンバーは、予想外の結果にショックを受けた。周囲の目は厳しく、批判の声があがった。モニターの一人であったある経営陣は言った。「俺のカードは5打数1安打だ、5回に1回しか反応しないじゃないか、使い物にならん。」「カードの使い方に慣れていただければ信頼性は高まるはず」と説明する開発メンバーは一蹴された。「不特定多数のお客さまにご利用いただく改札口で、特別な訓練が必要なカードを導入できるか!」
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