小江戸佐原町歩き&舟めぐりで、江戸時代へタイムトリップ!

江戸の頃に舟運(しゅううん=舟で物資を運ぶこと)で栄えた商家が残る佐原。市内を流れる小野川沿いと、川と交差する香取街道沿いは今も江戸情緒を感じることができます。 サッパ舟に乗ったり、町をゆったりと散策したり。ぶらり、小江戸めぐりの始まりです。

サッパ舟(ぶね)で川風に吹かれながら、江戸情緒を満喫
見事な舵さばきで舟を誘導する船頭さん

東京駅から成田駅を経由して、佐原の町の玄関口・佐原駅に到着。早速、サッパ舟で佐原の町を眺めてみます。 乗り場までは駅から徒歩で約10分。伊能忠敬旧宅横にあるカウンターで受付を済ませて、乗船です。昔ながらの衣装を着けた船頭さんが船着き場に舟をまわしてくれました。

佐原は、その昔、造り酒屋が35軒、醤油の醸造所は19軒あったそうです。 小野川は、そうした佐原でつくられた酒やしょうゆを積んで、利根川から江戸へと運んだ大切な交通の要衝でした。川の両側の各家には、“だし”と呼ばれる船着き場があり、そこから荷物の積み下ろしをしたそうです。今もその名残りを見ることができます。

両側は歴史を感じる商家や大きな蔵も
この道15年のベテラン船頭さん

「江戸の帰りには、いろいろな物を運んできたので、“お江戸見たけりゃ佐原へござれ、佐原本町江戸まさり”と歌に唄われるほどだったそうですよ」と船頭さんが説明してくれました。
なるほど、川岸の大きな商家や蔵を眺めていると、隆盛を極めた当時の面影を感じます。
両岸で青々と茂る柳の木、川面を渡る涼しい風……。ちいさな舟でのショートトリップは、ゆったり、まったりしたい方にはまさしくぴったりです。

他の舟とすれ違うことも
フォトスポットも豊富です

サッパ舟は、一時期途絶えていたそうですが、平成15年から再開。船頭さんのお話を聞きながらのおよそ30分の舟旅ですが、佐原の伝統ある町並や風情を満喫できるので、降りる頃にはすっかり佐原のファンになっていました。

乗船場横には、灌漑用につくられた、通称ジャージャー橋
町の偉人、伊能忠敬の足跡を訊ねる

サッパ舟の後は佐原の町の偉人・伊能忠敬ゆかりの場所へ。伊能忠敬旧宅と、川をはさんで向かいにある伊能忠敬記念館を訪ねてみます。 忠敬は、17歳で伊能家の婿養子となり、酒造業や米穀・薪などの販売業を営みながら、村の名主としても活躍したそうです。まずは、旧宅へ。店舗と正門は、忠敬が養子となる前のものですが、書院は忠敬が設計し建てられたといわれています。

伊能忠敬旧宅。昭和5年に国の史跡に指定
書院には測量に使った道具なども展示

そして、川を渡ったところにある伊能忠敬記念館へ。忠敬は49歳で家業を引退し、江戸へ出て天文学や地理学を学び、55歳で測量の旅に出発します。計10回に及ぶ日本全国測量の旅を行い、73歳で亡くなりました。彼の死後、弟子たちが引き継ぎ、没後3年に日本全図が完成したそうです。

伊能忠敬記念館外観
測量に使った道具なども展示(展示替えあり)
教科書などでも見た伊能忠敬の地図

館内では、忠敬の人生を年代順に紹介しています。人生100年と言われる現代ですが、50歳で隠居し、第2の人生をわが国最初の実測日本地図づくりに捧げた彼の生き方は、現代人の私たちの先をいっていると言えるかもしれません。

ぶらりと歩いて、佐原の歴史散策へ!

せっかくなので、佐原についてもう少し深く知りたくなってきました。そんな時は、「佐原町並み交流館」へ。佐原の情報収集ができます。事前に予約しておけば(できれば1週間前)、ボランティアガイドの方が、町の歴史や伝統的な建物のことなど説明しながら案内してくれます。モデルコースは所要時間約1時間ですが、申し込みの時に相談してみてください。

佐原町並み交流館。ボランティアガイドの申し込みは、電話 0478-52-1000
MAIL s_kouryukan@yahoo.co.jp

佐原がこうした歴史的景観を今も維持し、それを活かした町づくりが行われているのは、たくさんの人の努力があってこそ。もともと有志によって任意団体を発足し(現在は、NPO法人小野川と佐原の町並みを考える会)、地域の人たちと話し合いを重ねて、保存計画の作成や活動を推進してきたそうです。 また、平成6年には市が「佐原市歴史的景観条例」を設けます。こうした活動が実り、2年後には関東で初めて国の「重要伝統的建造物群保存地区」(以後、重伝健)に選定されました。

そうなんです、先ほどサッパ舟で眺めた川の両岸も「重伝健」だったのです。江戸から昭和初期の町屋や土蔵、レンガ造りの建物などが連なり、独特の情緒を醸し出しています。また、伊能忠敬旧宅(国の指定史跡)のほか、県指定文化財も8件(13棟)がこのエリアに該当します。その中のいくつかを訪ねてみました。

土蔵造りの店がまえの「福新呉服店」

まず、「福新呉服店」は文化元年(1804年)の創業。佐原の商家の典型的なつくりで、現在の店舗は、明治28年(1895年)の建築。店舗の奥には、井戸のある中庭があり、文化財の土蔵やトイレなどが拝見できます。

おばあちゃまが笑顔で出迎えてくれます
「小江戸てぬぐい」など、和の雑貨がいろいろ
中庭に面して土蔵や古い井戸も

福新呉服店の並びにあるのがお蕎麦屋さんの「小堀屋本店」。切妻平入瓦葺きの建物で、奥の土蔵(見学は不可)には代々伝わる蕎麦づくりの秘伝書や道具類が残されているそうです。創業は天明2年(1782年)、店舗は明治33年の建造。

小堀屋本店
昆布を練り込んだ黒切りそば。江戸時代から伝わる秘伝の製法!

だいぶ歩いたので、ちょっとひと休みという時は「遅歩庵いのう」へ。こちらは、伊能忠敬の本家当主17代目が経営する喫茶店。江戸時代に使われていた欄間(らんま)を照明にしたり、同じく江戸時代の漆器をおしるこの器にしたりと、こだわりが随所に感じられるお店です。昔、ドラマ撮影で使った「東京バンドワゴン」の看板が目印です。

小野川添いにある「珈琲 遅歩庵いのう」
江戸時代の漆器を使った田舎しるこ

また、サッパ舟から見えた「正上(しょうじょう)」も足を運んでみたいお店。江戸時代から醤油の醸造をしていた老舗で、創業は寛政12年(1800年)。戦後は佃煮の製造販売を主としているそうです。

舟からも見えた「正上」。今は佃煮屋さん
いかだのように串刺しにした「いかだ焼」(右)や佃煮も豊富

そして、最後にもう1軒。今では、2軒しか残っていないというつくり酒屋の「馬場本店酒造」。お酒ももちろんいいのですが、「最上白味醂」は要チェックです。江戸時代からの製法と味を今も守り伝えています。江戸時代には、夏負け防止の総合ドリンクとして人気だったとか。おだやかな香りと濃厚な旨みは、蕎麦屋さんやうなぎやさんなどの料理屋さんでも使われています。

建物の一部も見学できる「馬場本店酒造」(
プロの料理人も愛用する「最上白味醂」

東京からほど近い距離なのに、佐原の情緒ある町並みは、日本の魅力を再発見させてくれました。ぶらり歩いても、舟に乗っても、いろいろな発見がある佐原。春と秋には祭りもあるそうです。「また違う季節に来よう!」そう思わずにはいられない町でした。

s
modal 1
modal 2

modal 2