銚子を船と自転車でクルーズ!
~イルカウオッチングと海辺の美味をめぐる旅~

夏から秋は親子連れのイルカに出会う絶好のシーズンと聞き、銚子海洋研究所のイルカウオッチングに参加してきました。ウオッチングの後はレンタサイクルで銚子の海辺をぐるりと探訪。地元の人に教えていただいた、とっておきのおいしい情報をお届けします。

東京駅から銚子駅までは、特急「しおさい」で約2時間。銚子駅からは「名洗・科学大学方面」行きの路線バス(5番乗り場)に乗り換え、銚子マリーナのすぐ目の前にある銚子海洋研究所へ向かいます。路線バスは1時間にほぼ1本。乗り遅れのないよう、事前に時刻表をチェックしておくことをおすすめします。

イルカウオッチングとあわせて、銚子を海から眺めよう!

青空にイルカとクジラが飛び跳ねる大きな壁画が銚子海洋研究所の目印です。出迎えてくれたのは所長の宮内幸雄さん。もともと犬吠埼マリンパーク(今年1月に閉館)のイルカ飼育員だった宮内さんが、銚子沖は野生イルカが多く集まる珍しい海域と気づいたのは30年ほど前のこと。その10年後には水族館を退社、「銚子の海のすごさ」を伝えたいと銚子海洋研究所を起ち上げ、イルカウオッチングツアーを始めたそうです。

「千葉科学大学マリーナ前」のバス停から徒歩2分
所長であり船長でもある宮内幸雄さん

「銚子沖では、年間を通じて20種以上のイルカやクジラが見られます。なかでも6月から10月はスナメリの子育てが見られる貴重なシーズン。普段は宮城県から東京湾までの広い海域で単独行動しているスナメリですが、5、6月になると妊娠個体が集まってきて銚子の海で出産。沿岸の狭い範囲に数百頭もの親子連れのスナメリが集まるという、世界的にも珍しい現象が見られます」と、宮内さん。 スナメリとは、頭が丸くて、愛嬌のある顔が特徴の小型のイルカ。可愛らしい子どものスナメリに会えるかも?と期待に胸を膨らませつつ、銚子海洋研究所の小型船フリッパー号に乗り込むため、銚子マリーナへ向かいます。

ウオッチングは、2〜3月は「沖合オットセイ&イルカウオッチング」、4〜5月は「沖合イルカウオッチング」、11〜1月は「沖合クジラウオッチング」が行われます。今回参加するのは6〜10 月に行われる「沿岸イルカウオッチング」です。

スナメリは沿岸に棲息するイルカ
沖合で見られるカマイルカ
11月はマッコウクジラも

船着き場へは出航の15分前までに集合。乗船前にはガイドさんから注意事項やスナメリの特徴について説明を受けます。スナメリはくちばしや背びれがなく、高いジャンプ力もないため、見つけにくいそうです。海鳥が飛び交う水面を探すのがポイント。救命胴衣を身につけたら、いざフリッパー号へ乗り込みます。

スナメリはアジア沿岸にだけ棲む珍しいイルカ

「沿岸イルカウオッチング」は、1時間半で沿岸をクルーズできるお手軽なコース。3歳から乗船できるとあって、小さな子どもたちも参加していました。見晴らしの良い2階席は小さな子どもと付き添いの大人の優先席。他の大人たちは1階の船室で着席して出航を待ちます。マリーナを出たフリッパー号はぐんぐんスピードをあげて港の外へ。スナメリの姿を追い求め、水しぶきをあげて海をひた走ります。

マリーナを出るまでは船室で待機
2階は操舵室と子どもの優先席

出航して20分ほど経ったころでしょうか。「海鳥の下です!スナメリがいます!」とガイドさんの声が。指さす方角を必死で見ますが、なかなかタイミングが合わず見つかりません。「ほら、あそこにいるよ〜!」と、2階席で歓声をあげる子どもたちに助けられながら、ようやく、水面に見え隠れするスナメリの姿を発見!それが頭なのか、背中なのか、判別もつかないほどのチラ見え。とにかく必死でシャッターを切り、どうにか写真も撮れました。ちょっとわかりにくいですが、頭? それとも背中?

指さす方向を見ますが…
ようやく撮れた写真!
もうちょっとジャンプして〜!

「沿岸イルカウオッチング」では、屏風ケ浦から犬吠埼のあたりの沿岸をぐるりと巡ります。屏風ケ浦は真下で見たことがありますが、海から見るのは初めて。高さ40〜50mの断崖絶壁が10㎞にわたって続く様子は、海上からしか見られない壮大な景色でした。また、銚子は日本初の洋上風力発電があることで知られますが、クルーズ中は海上に立つ風車も間近に。イルカばかりではなく、海上だからこそ見られる銚子の景色も大きな魅力です。

洋上風力発電も近くに見えます
屏風ケ浦を海から見る絶好のチャンス!
自転車で海辺の美味をグルッと巡ろう!

銚子には電動アシスト付き自転車のレンタサイクルがあり、銚子海洋研究所も貸出場所のひとつ。イルカウオッチングの後は、宮内さんにおすすめの店などを伺い、自転車を使って海辺の町を巡ることにしました。

自転車の数が少ないので予約をおすすめ

銚子マリーナを出て、まずは海岸沿いの道へ。近くには犬若港や外川港などの漁港があり、道沿いには地魚料理の定食屋さんもたくさんあります。 

外川漁港には漁船がいっぱい
君ヶ浜海岸から眺める犬吠埼灯台

君ヶ浜海岸で犬吠埼の灯台を眺め、その先にある小さな岬をまわると海鹿島(あしかじま)の海水浴場に出ます。目指すのは、宮内さんに教えていただいたおいしい干物屋さん「石井丸干物店」。海岸沿いの道から路地を少し入った先にあります。
「石井丸干物店」では、自前の漁船で釣った魚をその日のうちに手開きして天日干しに。ホウボウ、シタビラメ、アジなど、冷蔵ケースに並ぶ干物は土産として持ち帰るほか、その場で焼いて隣にある食堂でいただくこともできます。夏の時期は「磯かき」がおすすめと女将さんに聞き、さっそく焼いていただくことに。香ばしい焼き牡蛎は、身がぷりぷり。まわりをみると、浜焼きをつまみながらビールで喉を潤すお客さんがたくさん。私もノンアルコールビールでひと息つき、海辺の風情を楽しんでみました。

「海鹿島は竹久夢二も愛した保養地」と、女将さん
「磯かき」のほか、きんめの干物もおすすめ
ノスタルジックな漁港の町、外川をぶらりと散歩!

銚子電鉄の終点、外川駅へ向かいました。大正時代に作られた木造駅舎は風情たっぷり。待合には黒板の時刻表や木のベンチもあり、まるで映画のセットを見ているようです。 

外川の駅舎は大正12年の建築
ホームの先には銚子電鉄の古い車両が

外川漁港は小型漁船の基地で、1尾ずつ丁寧に釣りあげる「つりきんめ」の漁でも有名。この「つりきんめ」の炙り寿司をいただけると聞き、駅から近い路地にある「鮨 治ろうや」を訪ねてみることに。 「親潮と黒潮がぶつかりあい、利根川からも養分が流れ込む銚子は栄養豊富な海。エサが豊富にあるので、他より旨味の濃い魚が捕れます」と語る大将。名物の「きんめの炙り」は大将が考え出したオリジナルで、醤油に漬けてから炙るのが特徴。焦げた醤油がなんとも香ばしく、きんめのふくよかな旨味を引き立ててくれます。

握り姿が絵になる「鮨 治ろうや」の大将
外川の漁師が届けてくれた朝捕れの「つりきんめ」

そして「きんめの炙り」に負けず劣らず人気なのが、漁師のプリンの異名をもつ伊達巻。卵に秘伝の蜜ダレを混ぜ、熱した釜の余熱でじっくりと焼き上げた伊達巻は、つるりとした食感ととろける甘味がまさにスイーツ。「きんめの炙り」と伊達巻は、「また食べにこよう!」と思うクセになる美味。県外から足繁く通うお得意さんが多いのにも頷けます。

おまかせ握りは「きんめの炙り」と伊達巻入り
伊達巻は箱入りで持ち帰りも可能

旅の最後は「鮨 治ろうや」でお客さんにすすめられた豆腐屋へ。明治42年創業の「榊原豆腐店」は4代続く老舗の豆腐店。国産大豆と水にこだわった豆腐はもちろん、店先のベンチでいただける豆乳プリンも評判です。さっそくいただいた豆乳プリンは、大豆の旨味が感じられる、ほんのりとした甘味。夏の日射しで疲れた体を優しく癒してくれました。

「フ」が10個でトーフ。遊び心がある建物

「榊原豆腐店」では、国産大豆と厳選した丸大豆のみを使用。伝統の味を守りながら、プリンやジェラートなど、時代に即した豆腐の味わい方も提案しています。

黒みつときなこをかけた豆乳プリン
先代のご主人と4代目の若主人

レンタサイクルは犬吠駅で乗り捨て返却し、銚子電鉄に乗り換えて銚子駅に戻りました。イルカたちと出会い、自転車で海辺をめぐった今回の旅では、銚子の新たな楽しみ方を見つけられました。名残惜しい気持ちを胸に、「特急しおさい14号」に乗り込みました。

2018年4月にリニューアルした銚子駅
地元の木材を多用した駅舎は温もりある造り
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