潮来〜佐原を屋形船でクルージング&ランチ 利根川水系で近代遺産の閘門体験に大興奮!

夏がくると水辺が恋しくなります。水郷で知られる潮来(いたこ)で5月下旬から1カ月間開催されるあやめまつりの期間中、屋形船でお弁当を食べながら小江戸・佐原までのんびりクルーズするツアーがあると聞き、ひと足先に体験してきました!

あやめの季節に水郷地帯へ

潮来は東京方面から行くと、総武線快速と成田線、鹿島線を乗り継いだ先にあります。佐原をすぎると、車窓いっぱいにのどかな水田が広がり、やがて前方に大きな川が見えてきました。一瞬、湖かと思うほどワイドなその川は、日本一の流域面積を誇る利根川。日本の河川にはあまり見られないゆったりした流れは、まさに大河の風格です。そして長い鉄橋を渡り切っても、さらに現れる常陸利根川(北利根川)の太い流れ。この豊富な水量が、水郷たる所以なのでしょう。

車窓から見る利根川
観光案内所が併設された潮来駅

アーチ型の水雲橋がシンボルの水郷潮来あやめ園は、駅から徒歩5分ほどの前川沿いにありました。5月26日から6月24日まで開催されるまつりの期間中、ここでは約500種100万株のあやめで埋め尽くされます。ちなみに潮来といえば、橋幸夫のデビュー曲「潮来笠」が有名。園内には橋幸夫扮する股旅姿の伊太郎の銅像があり、傍にあるジュークボックスで曲を聴くことができます。

潮来の伊太郎像
あやめ園のろ舟乗り場
→リンク

水運の要所として栄えた潮来。かつては縦横に水路が巡らされ、人や荷物を運ぶ手漕ぎの「ろ舟」が日常の交通手段として利用されていました。園内に沿って流れる前川もそんな水路のひとつ。あやめまつりの期間中は、園内の船着き場から昭和のヒット曲「潮来花嫁さん」にも謳われた「嫁入り舟」が本物の花嫁で再現されるそうです。

屋形船に乗って、常陸利根川をのんびりと

今回のメインとなる屋形船の発着所に行くために園内を常陸利根川に向かって歩きます。風のないよく晴れた日でした。川沿いには花を終えた新緑の桜並木が続き、心も癒されます。ほどなく潮来港に到着。目印は「珈琲倶楽部ぷちろーど」という喫茶店です。

常陸利根川沿いに設けられた潮来港
喫茶店「ぷちろーど」が目印

本日の乗り物である屋形船はこちら。地元のホテル、新まこもが運営する「まこも号」です。船内はオールドスタイルのお座敷タイプ。定員54名のところを30名ほどで運行するため、ゆったりくつろぎながら船窓の景色を楽しむことができます。

まこも号
船内の様子
前方に見えるのは潮来大橋

いよいよ出発!屋形船は岸から静かに離れ、常陸利根川のゆったりとした流れを上流に向かって進みます。今回のコースは常陸利根川→横利根川→利根川をめぐって佐原までゆく利根川水系の旅。常陸利根川は上流にある西浦と下流の外浪逆浦の間をつなぐ河川でありながら、総面積で国内2位の大きさを誇る霞ヶ浦の一部です。

船は横利根川に入るために左に舵を切りました。入り口には大きな門らしきものが前後に2つ並んでいます。これは閘門(こうもん)といって、水位が違う水域を船がスムーズに航行できるよう設置された施設。有名なものにスエズ運河やパナマ運河の閘門があります。もっとも、水運が廃れた現在では利根川からの逆流を防ぐ水門としての役割の方が重要で、洪水の歴史を持つこの地域になくてはならない存在のようです。

川面から眺める潮来の街並み
新横利根閘門
鋼鉄製のがっしりした上下タイプの閘門

間近でみる閘門は堅牢な造りをしており、いかなる水害が来ても守りきるぞという頼もしさ。ブザー音が鳴り響く中、後方の門が閉まり、前方の門がゆっくり上がる光景は、秘密基地めいていてワクワクします。くぐり抜ける際に門から滴る水が甲板に降り注ぎますが、それも一興です。

水郷地帯の生活路、横利根川で東南アジア気分を味わう
バスボートが並ぶ、桟橋がいくつもあります

横利根川に入りました。両岸はコンクリートで護岸されており、運河のような雰囲気を漂わせます。右手には住宅や店舗が川岸ギリギリに並びます。

横利根川は、昭和の初め頃まで年間5万隻もの船がここを通って日本橋まで物品を運んだ江戸東京の経済を支える重要航路でした。目に映るものは田んぼに水をひくための水路や川砂を積んだ台船など生活に根ざしたものばかりで、観光用に整備された風景をゆくのとはひと味違った面白さがあります。ある意味、東南アジアの水郷地帯を旅しているような気分とでもいいましょうか。

素敵な雰囲気の石橋
田に水を引く水路にもかわいい水門が
パラソルを広げた釣り人がたくさん!

のんびりとしたムードに浸りながら、用意されたお弁当を開きました。魚に肉に野菜がぎっしりの幕内スタイルで、ボリュームもたっぷり。おかずをつまみながら船窓の風景を見ていると水鳥の鵜が水面を泳いでは潜る光景が見えました。一度潜るとなかなか水面に出てこない鵜。川のギャングといわれる鵜もちょうどごはんどきのようです。

おかずたっぷりのお弁当。日によっておかずが変わるので、どんなお弁当かはお楽しみ
水面近くを飛ぶ鵜
重要文化財の横利根閘門を屋形船で体験

横利根川のハイライトを飾るのは、国の重要文化財にも指定されているレンガ造りの横利根閘門です。先ほどの上下式の閘門と違い、こちらは観音開きタイプでパナマ運河と同様の二重の門扉からなる国内最大級の複閘式閘門(ふっこうしきこうもん)。大正期に建造されているのに、いまだ現役という、間もなく100年目を迎える近代化遺産です。

風格漂うレンガ造りの横利根閘門

屋形船が閘室に収まると、後方の扉が閉まり前方の扉がすーっと開いていきます。現在は電動化されているようですが、歯車などの機械類は当時のままだそう。レンガ造り閘門のひとつの到達点と賞賛される技術力の高さにすっかり感動してしまいました。

門はすーっと静かに開きます
閘門の上は「横利根閘門ふれあい広場」として市民の憩いの場に
大河・利根川のスケール感に圧倒!

閘門の先に広がるのは、車窓から見えた大河・利根川の雄大な流れ。青空の下に青い水面がどこまでも広がり、対岸の緑がやけに遠くに見えて、海から陸を見ているみたい。屋形船クルーズという言葉が連想させるイメージを吹き飛ばす利根川のスケールにすっかり圧倒されてしまいました。

大海原のごとき雄大な利根川

岸辺の近くまでくると、ヨシをはじめとする水辺の植物や樹木が繁茂し、ジャングルのようなうっそうとした景観を作り出していました。茂みの中に巣があるのか、鳥のさえずりが方々から聞こえてにぎやか。姿は見えないものの、ここは水鳥の生息地として豊かな生態系が息づいているのでしょう。

岸辺にはヨシ原が点在し、水鳥の生息地に
マングローブを思わせるワイルドな樹木
水の郷さわら

護岸された岸辺に「水の郷さわら」の建物が見えてきました。ここは「川の駅」としての顔も持つ道の駅。地場特産品の買い物やフードコートでの食事が楽しめるほか、利根川に関する歴史や治水技術に関する展示コーナーがあるため、利根川水系の情報を仕入れるにも便利ですよ。

屋形船を降り、1時間半に渡る船の旅はこれにて終了。でも旅はここで終わらず、さらに小江戸として知られる佐原の伝統的な街並みを散策しながら駅へ。水運の要所として栄えた痕跡を色濃く残す水路と歴史的な建物を見、水郷地帯の今と昔を満喫した旅となりました。

小野川沿いに商家が立ち並ぶ佐原の街並み
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