原始・古代から現代までの衣・食・住・技の移り変わりを体験しよう!
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千葉県にはディズニーランドと同じ広さの体験型博物館があるらしい。その名は「房総のむら」。 そこで行われている体験や実演の数は、なんと年間約400種類! いにしえのムードあふれる知られざる「むら」には、どんな体験が待ち受けているのか。タイムスリップの旅に行ってきました!

江戸情緒あふれる建物で見つけた房総の暮らしの技

東京駅から総武線快速エアポート成田のグリーン車両にゆられて1時間ほどで成田駅へ。成田線に乗り換えて2駅目の安食駅で下車し、路線バスに乗りこみます。車窓の風景が住宅地から田園風景、そして雑木林へと変わること10分。目的地の「房総のむら」に到着しました。

素朴な駅舎
路線バスは本数が少ないので運行時間のチェックは必須

「房総のむら」はディズニーランドと同じ広さの51ヘクタールの広大な丘陵地に作られた県立の施設。館内は、歴史と自然を学ぶ「風土記の丘エリア」と、商家・農家などの「ふるさとの技体験エリア」に分かれ、至る所で房総地方の暮らしや技、食などを体験できます。

むらの入り口に近づくと、威勢のよい女性のかけ声が聞こえてきました。「寄ってらっしゃい、見てらっしゃい!」と説く、その声の主は、昔懐かしいバナナの叩き売り。実はこれも「大道芸入門」として開催された特別講座なのだそう。巧みな話術に一気にテンションが上がったところで、いよいよ商家の町並みゾーンへ。

バナナの叩き売りの実演
商家の町並み

今ではめずらしい土の道の両側に、インスタ映えしそうな木造や漆喰造りの建物がズラリ。県内の佐原などに残る江戸後期から明治にかけての町並みをもとに16軒の商家が再現されています。これだけでも十分見応えのある景観ですが、「房総のむら」の魅力はこれだけではありませんでした。

実は、体験の会場となるのは、この本物感あふれる建物の中。そば屋なら「そば打ち」、お茶の店なら「お茶づくり」といったように、それぞれの店の特徴に合わせた体験や実演が用意されているのです。江戸情緒にどっぷりつかりながら、いろんな体験ができるなんて歴史好きにはたまりません。このツアーには体験などに使える1,100円相当のクーポンがついているので、ここは何か体験したいところです。

掲示板でこの日行われる体験をチェック

めし屋、そば屋、小間物の店…と庶民におなじみの店が続きます。開口部が広いオープンな造りは、当時の商家の特徴です。ナマコ壁がめぐらされた土蔵造りの立派な店は、酒と燃料の店。昔は酒屋さんで燃料を扱っていたんですね。とはいえ、石油のない時代は、炭や油、ろうそくが燃料の主体です。店内では「千代紙ろうそく作り」体験が行われていました。

堂々とした白漆喰の2階建て
軒先に酒屋のシンボルの杉玉が

隣の呉服の店の店頭に立派な藍染の布が展示されていました。ここで作られた藍染作品です。スタッフの方にお話を聞くと、染料の藍も館内で種から育て、お店の裏手にある工房で染料として仕込んでいるのだとか。せっかくなので工房を見学させてもらうことにしました。工房の床には焼酎の仕込みに使われるような埋め甕が2つ。フタを開けてもらうと、土の匂いを濃くしたような独特の香りがします。これは、昔ながらの木灰(もくばい)を使って発酵が進んでいる証。手作りの藍を使った藍染体験ができるなんて、贅沢ですね!

藍染めの綿布はインテリアにもよさそう
仕込んで12日目の藍
藍の仕込みを行うスタッフの方

さらに先に進むと、「妙薬」と書かれた立派な板看板を掲げた薬の店がありました。店先では杉の葉とタブノキの粉を使った天然の蚊取り線香作りが実演中。ちなみに原料の杉の葉は園内にある水車小屋で粉にしたもので、その工程ももちろん見学できます。

薬の店
店頭で蚊取り線香作りの実演中
線香の原料はどれも自然の素材
スローな暮らしぶりにふれて、気分もほっこり

町並みを抜けて橋を渡り、しばらく行くと、武家屋敷が見えてきました。佐倉市に実在する中級藩士の家をモデルに再現された建物で、生垣の背が高いのは、馬の上から見られないようにするための防御の知恵。茅葺き屋根がかわいい主屋は座敷に居間、台所につながる茶の間からなる2LDK。質素ながらも必要なものが揃った暮らしやすそうな住まいです。ここで行われている甲冑(かっちゅう)や打掛(うちかけ)の試着体験は、外国人観光客にも人気だそうですよ。

高い生垣に囲まれた武家屋敷
茅葺き屋根の主屋
台所のかまど

さらに進むと、畑の向こうに堂々とした茅葺き屋根の家が見えてきました。こちらは、上総地方に安政4年に建てられた名主クラスの農家を再現した建物。間取りは5部屋と広く、奉公人の部屋を中二階に備え、先ほどの武家屋敷を圧倒する規模です。さぞや大所帯だったのでしょうか。土間にはかまどが3基もありました。

上総の農家
広々とした土間
この地方独特のしめ縄が飾られた座敷

農家を出て雑木林と畑の織りなす風景の中を歩きます。畑には房総地方の在来種の大根がすくすくと育っていました。栽培用に改良された大根と違い、育てるのに手間がかかるけど、味はとてもおいしいそう。園内の畑では季節ごとに収穫体験もあり、野菜はお持ち帰りができます。体験の申し込みは「房総のむら」のホームページからできますよ。

在来種の大根畑
可憐な花をつけたロウバイ
むらの暮らしには不思議がいっぱい!かわいい埴輪にも遭遇!

雑木林の道を歩いていると、木立をつなぐ綱から吊るされた藁製の人形が。これは「綱つり」といって、上総地方に伝わる災いよけの風習を再現したものだそう。昔の日本人は災いが村の境目からやってくるものだと信じていたんですね。さらに先を進むと、今度は道端の木に巻きついた魔除けの藁の蛇が。これも同様の災いよけでした。むらの暮らしには不思議がいっぱいです。

綱つり
辻きり

「おまつり広場」を通り抜け、下総地方の農家や機小屋(はたごや)、安房地方の農家を見学し、谷地を下ったところにある水車小屋、炭焼き小屋と、足早に見て回ります。この「房総のむら」はとてつもなく広いのです。そして、体験は至るところにあります。これでは見て回るだけで終わってしまうかもしれません。パンフレットを握りしめて先を急ぎます。

機小屋のスタッフの方はNHKの大河ドラマで指導するほどの腕前だとか
製粉に使われる水車小屋
炭焼き小屋

館内にある「風土記の丘資料館」にやってきました。実は、この場所は115基もの古墳が点在する龍角寺古墳群という遺跡地区にあるのです。受付で「房総のむら」の入館チケットを見せると入場は無料。1500年前の古墳時代へタイムスリップと決め込みましょう。迎えてくれたのは人や鳥、馬などの形にさまざまな埴輪(はにわ)たち。漫画から飛び出したような表情がとてもかわいい!

風土記の丘資料館
龍角寺古墳群から出土の埴輪たち
馬具をつけた馬は当時の豪族のステータス

次に、千葉県内から出土したという旧石器時代から縄文・弥生時代の土器や石器、鉄器などを見ます。石や粘土でできたそれらは一見すると地味ですが、よく見ると凝った文様が施してあったり、マジカルな形をしていたり、見所もいろいろ。ちなみにこの資料館では年に数回、土器作りや埴輪作りをはじめさまざまな原始古代の体験ができるとか。マイ土器、マイ埴輪を持つことも夢ではありませんよ!

縄文土器
弥生土器
時間をかけずにかわいく作れる「千代紙ろうそく作り」

広い館内の散策に時間がなくなってもできるのが、「酒・燃料の店」で行われている「千代紙ろうそく作り」です。スタッフの方にクーポンを渡し、好きな千代紙を選んでから材料と道具を受け取ります。花柄の千代紙をハサミで切り抜き、裏側に接着剤をつけて貼ってから、表面にロウをコーディングして完成。15分ほどで作ったとは思えないほど、かわいいろうそくができてニンマリ。これは自分用のおみやげにしようっと。

スタッフの方から材料と道具をもらいます
千代紙を切り抜きます
仕上げはロウのお鍋にそーっとつけて
完成!思ったより簡単!
畳っていいなあと思えた「畳のコースター作り

家族にも何かおみやげをと思い、次に向かったのは「畳の店」。ここでは、「畳のコースター作り」を体験できます。まずは店先の木のベンチに座り、職員の方から畳についてのレクチャーを受けます。わらを利用した昔の畳は現代の畳に比べてずっしり重く、両面を裏返して10年使えるものだったそう。ものを大事に使い切る日本人の心に触れたところで、いよいよ手作り開始。畳おもてを折りたたみ、テープで貼り合わせていきます。青々とした畳からい草のフレッシュな香りがしていい気分。自分で選んだ青い柄の縁をつけて完成です。ちょっと縁の幅が不揃いではありますが、充分かわいい! 

「畳はわらでできているの」と説くスタッフ
畳のヘリは千代紙か布のハギレの中から選んで
テープで貼り合わせていくので簡単!
素朴な風合いのコースターは家族へのお土産にぴったり

原始・古代から現代までの衣・食・住・技の移り変わりを一気に体験できる「房総のむら」。自然をうまく利用し、身の回りのあらゆるものをいちから手作りしていたスローな時代の豊かさに触れる旅となりました。「次に来た時は野菜の収穫をしてみようかな。いや、かご作りもいいな」などと思いをはせつつ、房総の大地に沈む西日を浴びながら帰路につきました。 

このツアーは、入場後は閉館時間まで好きなように過ごせるので、のんびり過ごしたり、何かを作り込んだりするにもおすすめです。隣接する農家レストランの新鮮な食材や野菜を使った料理が楽しめる食事券がついているので、おなかも満足できますよ。

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